偽りのお見合いだとバレたのに、溺愛されています
実家
ー土曜日
私の実家は母子家庭のため、
母親と弟の正樹が出迎えてくれることになった。
「お邪魔します」
榊さんが私の実家のドアを開けると、
母親と弟が玄関にいた。
2人とも榊さんのオーラに圧倒され、
口を開けたまま何も喋ってなかった。
「2人ともどうしたの?」
「ああ、ごめん。
すごいイケメンでビックリしちゃって。
どうぞ入ってください」
「こちら、大したものではありませんが」
おそらく高級な和菓子が入っているだろう紙袋を、母に渡していた。
「ありがとうございます。入って入って」
母が上機嫌になり、リビングに入っていった。
正樹は何も話していなかったが、
少し不機嫌そうに見えた。
「すごい狭い家で申し訳ないんだけど、良かったらそこに座っていてください。」
「いえ、ありがとうございます。」
母が言う通り、
私の実家は狭いアパートなので、
榊さんの体には窮屈そうに見えた。
ただ榊さんはあまり気にしていないようで、リビングの椅子に座っていた。
「おいしそうなお菓子をありがとう。
良かったらお茶をどうぞ。」
「ありがとうございます。」
母がお茶と先ほどのお土産を机に持ってきて、正樹もリビングに揃った。
母はなんとなくキラキラした目で、
正樹は怪しげそうな目で榊さんを見ていた。
「あの…初対面でいきなり聞くのはすごく失礼だと思うんだけど、どんな職業に就いているの?」
「最初にそこから?」
「だって、なんとなくオーラが普通の人よりあるから気になっちゃって」
母がおどけたように言うので、
これ以上責める気にはなれなかった。
確かに最初会った時から榊さんはオーラがあるなと思っていたし、私自身どんな職業なのかなと妄想していたので、気持ちはわからなくなった。
「気にしないでください。
どんな質問にもお答えします。
○○会社を経営しています。」
榊さんは自分の名刺を母に私渡した。
「○○会社?あの化粧品の??」
「そうです。」
「凄いところの社長さんなのね。
どうりでオーラがあると思った!」
母は更に目をキラキラにし、
正樹は反面更に怪しそうに榊さんを見ていた。
「でも、なんで○○会社の社長さんと楓が付き合うことになったの?」
「ゆ、百合子が紹介してくれて」
ー偽装のお見合いのことをいうとややこしくなるので省略した。
結局百合子の紹介みたいなものだし…
「ああ。百合子ちゃんのね!」
母も正樹も百合子のことを知っているため、少し安心しているようにみえた。
「で、今付き合ってどれくらいなの?」
「え、えっと1ヶ月くらいかな」
ー本当は3週間くらいだけど…
「1、1ヶ月!?」
「う、うん」
「け、結婚の話って聞いていたから、
もう少し長いかと思っていたわ…」
今まで目をキラキラしていただけだった母が少し心配そうな表情を浮かべた。