偽りのお見合いだとバレたのに、溺愛されています
「無事に終わって良かったです。
次は榊さんのお家ですね。」
私は明日に迫った榊さんの実家訪問に緊張し始めた。
「うん。
今日本当はお泊まりじゃない予定だったけど…、お泊まりにしちゃダメかな?」
「私は特に予定ないので大丈夫ですが、お泊まりになると、榊さんのお家へのお土産とお洋服を家に取りに行かないといけません。」
「じゃあ、一回楓の家に寄るね。」
榊さんの運転で私の家に向かってくれ、
お泊まりすることになった。
今まで流れでお泊まりすることはあったけど、こんな風に改めてお願いされてお泊まりするのは初めてだった。
「お待たせしました。」
「じゃあ、俺の家に向かおうか。」
車に乗ってからずっと思っていたが、
いつもより口数が少ない。
機嫌が悪いのかな?と思ったが、
そういう表情には見えない。
ただ、いつもより少し運転が荒く、
急いで帰っているように思えた。
「お邪魔します。」
「どうぞ。」
榊さんの家に入ってからも、
いつもと少し感じが違って、どんどん進んでいってしまう。
私も急いで靴を脱いで、榊さんについていった。
榊さんが急に立ち止まり、
私は榊さんの背中にぶつかってしまった。
「あ、すみません。」
「いや、大丈夫。
それより…昔付き合っていた彼氏の話…
嫌じゃなければ聞かせてくれない?」
「も、元カレの話ですか?
あまり良い話ではないですが…」
「それでも…できれば聞かせてほしいんだ。」
ーやはり正樹が言った話が気になっていたんだ。
私は学生時代の元カレの話を渋々した。
告白されて付き合ったが、
段々レポート等を手伝わされたり、
元カレが一人暮らしだったから家事をやらされたり、
挙げ句の果てには浮気されて別れた。
「まあ、私も好きかわからなかったのに、周りの友達に勧められて付き合ったのが悪いのですが…」
「そっか…」
榊さんの声自体はいつも通りだったが、
眉間に皺を寄せて、すごい怖い顔をしている。
「腹立つな…そいつに。」
「まあ、昔のことですから。」
「昔のことでも腹立つ。
楓を大切にしなかったことにも怒りを覚えるが…、
でも一番は楓の学生時代に一緒に過ごしたのがムカつく。
俺だって楓と学生時代から付き合いたかった。」
すごい不機嫌そうに言われて、
思わずクスッと笑ってしまった。
そんな私をみて榊さんが更にムッという顔をした。
「すみません。
まさかそんな風に嫉妬してもらえると思わなくって…」