偽りのお見合いだとバレたのに、溺愛されています
「お待たせ。」
「ありがとうございます。」
お義母さんが人数分のお茶を持ってきてくれた。
「ふふ、緊張はとけたかな?」
「おかげさまで、だいぶほぐれました。」
「ちょっとトイレ行ってくる。
ごめん、楓待ってて。」
榊さんがトイレに行ってしまい、
ご両親と私だけになってしまった。
ー緊張はとけてきたけど、
さすがに榊さんいないと気まずいな…
「あの恒一が恋愛するとはね…」
お義母さん話し始めた。
「恒一初めて彼女を紹介してくれたのよ。」
嬉しそうに話し掛けてくれた。
「そうだったんですか。」
「そう。というか昔から恋愛に興味なさそうでね、ずっと心配してたの。
もし嫌な気持ちにしてしまったら申し訳ないんだけど、お見合いするって話もあったのよ。」
ー百合子とのお見合いのことかな。
ギクリとしつつお義母さんを見たが、気にしていないようだった。
「このまま真剣に恋愛しないで過ごしていくのかなって思ってたら、
まさか『すごく大切な人ができたから紹介したい』なんて言われてね。」
ーそんなことをお義母さんたちに言ってくれてたんだ…
「さっきの楓さんが美味しそうにお寿司を食べたときの、恒一の表情がねぇ。」
お義父さんとお義母さんが顔を見合わせながら、思い出し笑いしている。
そんな間に榊さんが戻ってきた。
「なんか変な話してないよね?」
「してないわよ。すごくお似合いよ二人とも。」
「そしたら、婚姻届の証人欄書いてくれない?」
すごく雑なお願いに見えたため、ハラハラしたが、2人とも気にしていないようで、
すぐに記入してくれた。
「またいつでも来てね。」
「和菓子用意しとくね。」
ご両親にお別れを告げて玄関を出て、
やっと完全に緊張がとれた。
「俺の両親は大丈夫って言ったでしょ?」
「はい。とても優しくてありがたかったです。」
「もう電話で連絡入れたときから、
歓迎モードだったからね。」
「嬉しいです。」
「やっと婚姻届の証人欄も埋まったし、
いつ提出しようか?」
榊さんがそう話ながら、手帳を開いた。
「両親への挨拶が急だったので、明日にも提出するのかと思って、有給届けだしちゃいました。」
「そうだったんだ。ありがとう。
どうせなら縁起の良い日がいいかなって思って。
ずっと楓と一緒にいたいからね。
明日は大安だから、一緒に提出しに行こう。」
ーずっと一緒にいたいって思ってくれているんだ。
私も当然思っているが、改めて言われると嬉しい。
「あ、でも榊さんは忙しいだろうし、
休めないんじゃないですか?
私は有給取りやすいので、
次の大安の日で良いですよ。」
「いや、明日がいいな。
本当は余裕なふりしたけど、今日すぐにでも提出したいくらいだから。
ちょっといつ行けるかわからないから、
明日待たせたりしちゃうかもだけど、
なるべく朝イチで連絡するね。」
「わかりました。ありがとうございます。」
ー明日入籍するんだ、
なんとなく考えてはいたが、だんだん実感が沸いてきた。