偽りのお見合いだとバレたのに、溺愛されています

結婚後


お互いの両親に挨拶をすました次の日、
市役所に婚姻届を提出して、無事に受理された。

あまりにもアッサリだったため、
未だに結婚した実感がわかない。

まだ私の部屋にも荷物が沢山残っているので、少しずつ持っていくようになるため、実感がわくのはまだまだかもしれない。

「榊さん」

「ん?楓も榊さんでしょ?」

榊さんに名字で呼ぶと、
毎回そう返事をされるようになった。

「こ、恒一さん…」

「はい、良くできました。」

下の名前で呼び直して、
髪を撫でながら褒められるのが一連の流れだった。

結婚で変わったことといえば、
他にはお風呂に入るときに、
毎回「一緒に入らない?」と聞かれるようになった。

その度に「まだ無理です」と答えている。

何度も自分の裸を見られているものの、
明るい場所で見られるのは無理だった。

毎回「いつになったら大丈夫なんだろう。」と笑いながら聞かれるが、
こればかりはかわらない。

当分は難しそう。

恒一さんは付き合っているときから優しく、家事も食洗機を率先してやってくれたり、お取り寄せの食品を準備してくれていたが、結婚してからも変わらなかった。

恒一さんの方が忙しいだろうに、
毎回私のことを気遣ってくれる。

恒一さんのこれまでしてくれたことを思い出し、
ぼそっと「幸せだな…」と呟いた。

独り言のつもりだったが、恒一さんにも聞こえていたようだった。

「俺もすごく幸せだよ。」

恒一さんが抱き締めてくれる。

「今日は…いいかな?」

夜のことも、
私の仕事のことを考えて毎回確認してくれる。

ーたまに『ごめん。』と謝られつつ、
確認せず迫られるときもあるけども…

「は、はい。」

私は思い切って自分からキスをした。

「今日は…優しくしようと思ったけど、気が変わっちゃった。」

妖艶な表情で見つめられて、またゾクゾクしてしまう。

でも恒一さんだから嬉しい。

恒一さんから抱き締められながらキスを返され、
幸せを噛み締めながら抱き締め返した。
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