地元なじみ。
電車の中は更に混雑している。
今でさえぎゅうぎゅうだけれど、まだ後ろから人が乗ってきているようで。

「わっ……」

私は混雑に逆らえず、早川くんの胸の中に体が入る形になってしまった。

近い……触れてる……
やっぱり心臓が跳ね上がる。

「ご、ごめ……」
「……別に」

電車が発車した勢いでバランスを崩し、さらに早川くんに体重をかけるようにもたれてしまった。
慌てて戻ろうとしようにも、混雑でなかなか元の体勢に戻れない。

「いいよ、別に」

そう言って早川くんは、不安定な体勢の私の肩にそっと手を回し支えてくれる。
さっきよりもっと近づいて……密着している。

体が熱くて、鼓動が早い。
この熱が、鼓動が……伝わってしまいそうで。
顔も上げられないし、息苦しい。

けれど、このままずっと駅に着かなければいいのに……

そんな矛盾を抱えながら、ドキドキはおさまることなく電車に揺られていた。
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