地元なじみ。
すると、早川くんも肩越しにこちらを振り返っていた。
肩越しだからしっかりと目は合わないけれど、私に話しかけているのはなんとなくわかる。
これはこれでまた緊張する。

「聞いたよ、久々に激しい感じで良かった」
「わかる」
「今回みたいなダークな雰囲気の曲結構好きで」
「いいよな、イントロのギターもかっこいいし」
「そうそう!」

周りのみんなを忘れてしまうほど2人で話が弾む。
やっぱり早川くんと話すのは居心地良い。

そんな時、こちらを向いて立ち上がった美玲ちゃんの声が聞こえてきた。

「あかりちゃんもこのバンド好きだったんだ~?」
「あ、うん。よく聞いてて」
「そ~なんだ。ひなたくんが聞いてたから聞いたの~?」
「え……いや」

最初の曲を好きになったのは偶然だけど……
確かにそれ以外は早川くんが聞いていたから聞いたっていうのも、間違ってはない。
でも、早川くんもいるこの場でそれを肯定する勇気は出なくて。

「え~そういうのって重くない?」

返答に困っている時に聞こえてきた、もう一人の女の子の言葉。
ね~!という美玲ちゃんの相槌が聞こえる。

重い……

好きな人と同じバンドを好きになって、嬉しくて他の曲も聞くのって重いのかな。
確かに早川くんに近づきたいっていう下心もあったけれど、このバンドが好きなのも本当で。

周りはすごく賑やかなのに、この周りだけシーンとしているように感じる。
とりあえず笑って「私重かったかな」って言えば、この空気も変……


「重くないだろ、別に」

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