地元なじみ。
「ひーなーたー!」
「居ないって思ったらまた女の子かよ!」
「今お前のターンだったけど、居ないから俺投げちゃったからな。ちなみにガーター」
「おー……」

気づけば席の近くまで戻って来ていて、早川くんと同じレーンの友達の男子たちに囲まれていた。
みんなの目は私に向いていて、それは明らかに好奇の目だった。

「ねー、ひなたと中学一緒だったの?」
「え、いや私は……」
「ひなたがあんなに女子と話してるの初めて見たよ」
「どういう関係?本当に付き合ってな……」
「はいはい、いいから」

前のめりで次々に来る友達を、早川くんが片手を出して制してくれた。

「ごめん、巻き込んで」
「あ、ううん」

早川くんを引き止めてしまっていて迷惑かけているだろうし、友達に囲まれてしまったし。
私はひとまずのんちゃんの所に戻ろうかな。

けれど、やっぱりここでバイバイにはしたくない。
だからあっちで終わるのを待っていよう。

そう思って、1歩、2歩と距離を取った時。



「待って」


早川くんが私の腕を掴んだ。

「ちょっとお前ら戻ってて。すぐ行くから」
「はいはーい、邪魔者は消えますよ~」
「すぐ来ないとまた俺投げちゃうからな~」

腕を掴んだまま、友達に先に戻るよう促す。


「そっちはもう解散?」
「まだだよ。これからあっちのロビーで解散だと思う」
「なら……いや、その……」

早川くんは口ごもり、珍しくたじろいでいる。
腕を掴んだままなのも気づいていないのかな。
そんなに強く握らなくても、私は逃げたりしないのに。

「一緒に帰らない?」
「そのつも……ん?帰る?」
「うん」
「えっと、早川くんと?」
「待っててくれない?」

待っているつもりではいたけれど、一緒に帰る約束ができるとは。
嬉しさが顔に出ないよう必死に冷静を取り繕う。

「……うん」
「この辺待てるところある?」

この辺りは繁華街なので、カフェよりは居酒屋が多いエリア。
私たちの南高はもう少し先のところにあるから、土地勘があるのだ。

「この下のゲーセンで待ってるよ」
「ゲーセン……危なくない?」

前から思っていたことだけれど、早川くんは意外と心配性。
ゲーセンくらい平気だろうと思うけれど、やっぱり帰るの無し、ってなったら嫌なので、安心情報を提供しよう。

「大丈夫。さっき三島くんも梓ちゃん待ってるって言ってたし、一緒に待ってるよ」
「三島……まあ、ならいっか」

なぜか少し不満気な表情だけれど、納得してくれた。

「とりあえず、すぐ投げて終わらせてくるから。悪いけど待ってて」
「ふふっ、他の友達もいるんだしゆっくり楽しんできて。ちゃんと待ってるから」
「ん。さんきゅ」

早川くんは手を離し、急いで席へ戻って行った。
さっきの友達たちがこちらをチラチラ見ながら、早川くんに話しかけている。
また色々とからかわれているんだろうけれど、早川くんは気にせずボールを持っている。

本当にすぐ投げてるし……

ふっと笑いをこぼし、掴まれた腕に熱を感じながら、私ものんちゃんたちの元へ戻った。
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