地元なじみ。
「何……これ」
「あげる」
「あ、ありがとう」
手元でカチューシャがピンク色に光っていて可愛い。
「……って違う!あげるってなんで……」
「くじで当たった」
「あの屋台のやつ?」
「そう、妹の好きなキャラのぬいぐるみあったから引いたけど、当たらなかったから」
「それでこれ?」
「うん」
早川くんがこのカチューシャ当てて、それをずっと持ってたって思うとちょっと面白い。
っていうか妹……いるんだ、初めて知ったな。妹のためにくじ引きするなんて、優しいお兄ちゃんじゃん。
「妹さんにあげればいいのに」
「家にある、それの黄色が」
「えっ、そうなの」
それなら、もらっちゃってもいいのかな……
せっかくだし、また着けてみる。
「ありがとう」
「ん」
さっきと違い、座っている私の前に早川くんが立ち、2人でまた無言でグラウンドを見る。
帰ろうと立ち上がったはずなのに、さっきより距離は近くなっているのが、なんか不思議。
平塚くんのことはいいの?とも思ったけれど、やっぱりこの沈黙が心地よいから何も言わなかった。
私の学校のお気に入りの場所に、早川くんといる。
変な感じだけれど、今日ここから見た夏祭りの景色を私はずっと忘れないような気がした。
そして、なぜかはわからないけれど、来年の夏祭りは浴衣を着ようかなと思った。