地元なじみ。
「8月にある花火大会、一緒に行こう」
「……へ?」
「この前の水族館の方は行けないけど、8月には開港祭の花火大会があるから」
「あ、うん。毎年あるよね」
「そっち行かない?みなとみらいだからめちゃ混むだろうけど」

想像していなかった展開にフリーズしている。

「え……お願いって……これ?」
「そう」
「だってお願いだからもっと……」
「何言われると思ったの」
「パシリとか帰りの荷物持ちとか……」
「え、俺そんな嫌なヤツと思われてるの」

慌てて首を振って否定する。

「そのお願い……私のお願いでもあるんだけど……」
「ふっ、ならちょうどいいじゃん」

嬉しくて泣きそうになるのをこらえて、コクリと頷く。
早川くんは優しい声で、1つ目終わりねと言う。


そのまま少しの沈黙。
早川くんは座りながらそばにあったボールを小さくついている。

「……このことで藤沢が落ち込んでるって、平塚から連絡が来た」
「平塚くん?」

今朝のやり取りの後、平塚くんが連絡したのかなと想像する。


「これを言ってもしょうがないけど……」
「?」
「それは平塚からじゃなくて藤沢から聞きたかったというか……」

早川くんはついていたボールを置いて地面に手をつき、私の正面に座り直した。

それを見て、少し緊張する。
私は知っているから。
今までの経験上、早川くんがきちんとこちらを向いて話す時は、真剣な話の時だと。

「俺に言えない話とか、タイミングとか……色々あるのは分かってる。けどもし出来るなら……」
「藤沢が落ち込んでる時とか泣きたい時は、まず俺に話してくれると……嬉しい……です」

遠慮がちに話しながら、両手をそっと私の手に重ねてくれる。

「いや、まあその……家族とか辻堂とかはいいんだけど……」
「?」
「何ていうかまあ……平塚よりは先に知りたいというか……」

その言葉で、私の心はむずむずっと嬉しい気持ちが広がっていき、ついつい笑みがこぼれる。

そんな私を見て早川くんは、あーもう……とバツが悪そうにブツブツ呟いている。


そのまま近づいてきて、コツンとおでこをくっつけた。

「今のが2つ目。分かった?」
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