地元なじみ。
気づけば、早川くんに抱きしめられていた。
ペタンと座っている私を、ひざ立ちの早川くんが包み込んでくれている。
早川くんの鼓動が聞こえてくる。温かくて心地良い。
好きって想いがこみ上げてきて、早川くんの背中に手を回し、私も抱きしめる。
その直後、私を抱きしめる早川くんの力が、少し強くなったような気がした。
「早川くん」
「ん?」
「花火のこととか……ありがとう」
「ん」
「すぐに今日会おうって言ってくれてありがとう」
「ん」
「私ももっと話したり、色々伝えるね。だから早川くんも話してね。遠慮も我慢もダメで、あと気遣いす……」
「わかったから」
ふっと笑って、背中をポンポンされながら、遮られてしまった。
「じゃあさ……」
早川くんの手の力が緩み、お互いの顔が見えるようになった。
ほんのわずかだけれど距離が出来て、少し寂しくなってしまう。
「……もう1回、いい?」
そう言って、今度は片手は背中のまま、もう片方の手で私の頬をなでる。
何のことを言っているのか、さすがの私でもピンと来る。
コクリと頷くと、ゆっくりと顔が近づいてきた。
2回目のキス。
またゆっくりと、顔が離れる。
ヒグラシの声も聞こえるし、さっきよりも少し長い気がした。
「今度は事前承諾もらってたから」
「ふふっ、次からはいらないけどね」
そんな私の一言に早川くんは照れながら、また私を抱きしめた。
心地良くて離れがたくて。
少しして遠くで聞こえた救急車のサイレンでお互い冷静になって、ようやく離れた。
「……行くか」
「うん」
ご飯もこれからだし、急いで帰り支度をする。
立ち上がってコートから出る時、早川くんが振り返って手を差し出した。
「ん」
「え」
「……同じ日だし、これもしとく」
照れ隠しにぶっきらぼうな言い方をしながらも、細かいことを覚えていてくれてまた嬉しくなる。
差し出された手に自分の手を合わせると、指を絡められた。
この先、こういうことも自然とできる2人になっていけるといいな。
そんなことを考えながらの駅までの道のりは、幸せであっという間だった。