地元なじみ。
バレンタイン当日――
「あかり、いい?自然にね、自然に!」
「ふふっ、はいはい」
「あくまで塾仲間として、3人平等に渡すから!三島くんに変に思われるようなこと言わないでね!」
「言わないよ」
塾へ向かう道のりで作戦会議。
とは言っても、梓ちゃんは気持ちを伝えるわけじゃなく、ただ友達として3人に渡す、という形にしたいらしい。
むしろ今は気持ちはバレたくないらしい。
だからチョコも手作りではなく、3人に全く同じものを買って用意している。
そしてそれは私も同じだ。昨日お母さんと駅前のショッピングモールで買い物した時に買ってもらった。
お母さんには、誰にあげるの〜?なんて聞かれて恥ずかしかったけれど。
「授業終わって帰る時に渡そうね!最初だと塾にいる間、なんか変な感じになっちゃいそうだし。あ、でも緊張して授業に集中できなそう……」
塾に着くまでの間、梓ちゃんはずっとブツブツ言いながら上の空で、緊張していた。
可愛いな、恋をするとこんな風になるなんて。
私もいつかわかる時が来るのかな……
「せんせーさよーなら!」
「はい、さようなら」
塾が終わって、みんな帰り始めている。
早川くんと平塚くんと三島くんも、いつも通り3人で帰ろうと塾の入り口のドアの方へ向かっている。
梓ちゃんとアイコンタクトを取り、私たちもそっとついて行くようにドアの方へ向かう。