地元なじみ。
塾を出たところで、梓ちゃんが思い切って、前にいた3人に声をかけた。
「どうしたの?」と平塚くんが返事をしてくれ、早川くんと三島くんもこちらを振り向いて立ち止まる。
冷たい風が頬に吹きつける中、しばしの沈黙。
チラッと横目で梓ちゃんを見ると、思いっきり緊張して固まってしまっている。
余計なことをせずに、私は梓ちゃんの後に続いて渡そうと思っていたけれど……
ちょっと助けた方が良さそうな気がするので、思い切って声を出す。
「これ、よかったら」
右手を早川くんの方へ、左手を平塚くんの方へ伸ばし、両手を出す。
私のその手にはチョコの箱。
このままだと手の本数の限界上、私が三島くんにだけあげない意地悪な感じになるので、梓ちゃん早く……と思っていると、
「わっ私も……こ、これ……」
梓ちゃんも三島くんにあげていた。
よかった……ひとまず一安心。
「いいの?ありがとう、藤沢」
平塚くんが微笑みながら受け取ってくれる。
そうだ、梓ちゃんのことばかりを気にしていたけれど、私は私で目の前の2人に渡していたんだった。
「……ありがとう」
いつも通りの余裕な感じで受け取った平塚くんに対して、少しよそよそしく目を逸らしながら受け取る早川くん。
そんな風に冷静に分析する余裕があるのは、私が3人に渡すことを特に意識したりしていないからだろう。
三島くんにも渡し、そのまま3人と別れて梓ちゃんと帰路に就いた。
お礼を言いながら抱きついて来た梓ちゃんは、やっぱり可愛かった。