地元なじみ。


「あ……そうだ、早川くんちょっとこっち行かない?」

少し歩いたところで、あることを思いついて思い切って早川くんに声をかけてみる。
とはいえ、思いついてからこうやって声をかけるまで、断られるんじゃないか、やめた方が……と脳内で3分くらい自問自答していたのだけれど。
2人で歩くなんて、こんなチャンス滅多にないことだから思い切ってみた。

「なに」

早川くんはニコリともしないけれど、嫌な顔もせず一緒に来てくれる。
そんな彼の優しさに私はずっと前から気づいているし、そんなところも好きなんだと思う。

メイン通りから1本外れた道に入ったその途中、道沿いに少し開けた場所があり、そこに着いた。


「あ、ちょうど良さそう!」
「すご……」
「ね、きれいだよね」


オレンジ色の夕日が沈む瞬間だった。オレンジ色の周りは、暮れ始めているから薄紫色でグラデーションのようになっていて、薄くまだらに広がる雲と重なり、いつも以上にきれいな空になっていた。

中学校から続くこの辺りは、周囲より少し小高い場所になっている。
その中で近くに高い建物がないこの場所だけは、街が一望できるようになっているんだ。
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