地元なじみ。

「ちょうど陽が沈むタイミングだったから、いいかなって。付き合ってくれてありがとう」
「うん」

たまに通る地元の道の地元の場所。
ずっときれいだと思っていた場所に、早川くんと来ることができるとは。

去年の夏祭りの時に高台から早川くんと見た景色もきれいだった。
あの頃はまだ気持ちに気づいていなかったけれど、きれいだったから記憶に残っている。
けれど、気持ちを自覚したうえで見た今日のこの景色は、それ以上にきっと忘れないと思う。

浸っているところに、早川くんからの声で現実に戻ってくる。

「バスケ……」
「え?」
「そっちは男女別?男子どんな練習してるの」
「えっと、練習は別だけど、練習日程は基本一緒って感じかな。隣でやってるって感じ」
「へー」
「練習は……普通の練習じゃないかな。1対1とか三角パスとかフットワークとか……」
「ふーん」

「次は負けないから」
「へ?」
「よくあるんだって。うちとそっちの学校との練習試合」
「え、あっ……そうなんだ」

早川くんを応援していたから私も負けた気でいた、なんて言えない……
早川くんの顔からは悔しさがにじんでいる。
視線を正面の夕焼けに戻してまた会話をする。

「次は勝って、またここに来るわ」
「うん、頑張って」
「いや、敵でしょ」
「うん。でも早川くん頑張ってるって思って、私も頑張れると思う」
「いや、敵だし」

かみ合わない会話。でもそれを含めてこの時間が愛おしい。
初めて、塾以外での早川くんの本心というか、人となりを見た気がする。

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