地元なじみ。

あ、そうだ……
見えないって言われていたことを思い出して、カチューシャを取ろうと手をかける。

「いいよ、別に。そのままで」
「え、でも見えないんじゃ……」
「そんなチビじゃないし」
「えー早川くんが言ったのに」

会話の流れが理不尽な気もするけれど、話せている状況がとにかく嬉しい。
最前列だし、一応カチューシャは取っておこうと思い、外す。
混んでいるし手荷物は増やしたくないけれど、しょうがない。

「いいって言ったのに」
「あ、うん。でもさらに後ろの人もいるし、邪魔になっても申し訳ないから、一応ね」
「ふーん」

そう言いながら早川くんは、私の手からカチューシャを取った。

「え、つけたいの?」
「そんなわけあるか」

じゃあなんで取ったのよ、と言おうとしたところで、大きな爆発音と光で会話が止まる。
ショーが始まった。
爆発音は水上の花火だった。
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