地元なじみ。
「あっあのね……」
「返事はまだ待って」
「へ?」
返事をしようと思った矢先、佐藤くんの口から言葉がかぶせられた。
「俺の気持ち、全然気づいてなかったでしょ。もう少しチャンスちょうだい」
「チャンス?」
「待つからじっくり意識して考えてほしい。夏休みまで……」
「夏休み……」
混乱してしまってオウム返しのような言葉しか出てこない。
「じゃあ!あっ普段通りよろしく!」
「あっ……」
そう言って佐藤くんは走り去っていってしまった。
「ええぇ……」
1人水道に残った私はパニック寸前。
水道から1滴の水がポタリと落ちる音が、妙に大きく聞こえる。
好きって言われて、でも返事は今はダメで、夏休みまでに考える……?いやあと2週間ちょいだけれど!
考えたってきっと……絶対私の気持ちは変わらない。
けれど、お断りをする相手に、今は待ってと言われたら……そうするのが正解なの?……かな。
カラン――
ぐちゃぐちゃな私の心とシンクロするように、手に抱えていたドリンクの容器が地面に転がり落ちる。
転がっていった先へ、慌てて取りに行こうとすると、誰かがその容器を拾い上げてくれた。