地元なじみ。
「俺、藤沢のこと好きで……付き合うとか、考えてもらえないかな」
男の方はどう見ても藤沢に気があるだろ、と思った矢先、告白が聞こえてきた。やっぱり。
この場所は、グラウンドを使う俺たちサッカー部か野球部くらいしか通らない場所で確かに人通りはいつも少ないが、他校で告白とは、なかなか勇気あるなと感心すらしてしまう。
対する藤沢は……顔を赤くして口をパクパクさせている。ふっ、なんだよその顔。
でもきっと、断るんだろうな。
人使いが荒く常に気を遣わなきゃいけない姉が2人いる影響もあってか、俺は人間観察をして人の気持ちを汲み取るのが、割と得意な方だと思っている。
藤沢のひなたへの気持ちは、簡単にわかった。ついでに茅ヶ崎の三島への気持ちも。
そして、藤沢が人に合わせて上手く過ごすけれど、実は芯がしっかりとしていて簡単には流されない子ということもわかっている。
ひなたへの気持ちがある以上、揺らぐことはないだろう。
なぜか俺が安心して見ていたら、男の方が言い逃げをした。
藤沢の性格上、断る手前、待って欲しいという相手の要望は飲まないと申し訳ない、とか思っているんだろうな。
案の定、動揺を表すかのように、藤沢が抱えていたドリンクの容器たちが手からこぼれ落ちた。
あーあ……仕方ない、助けようか。
気づけば足が動いて、藤沢の方へ向かっていた。
ひなたには気づいていないふりをして。