地元なじみ。

どこに向かっているのだろう……
昇降口でローファーを脱いで靴下となって、校舎へ入り無言で早川くんと歩く。

早川くんはかなり歩く速度を落として私に合わせてくれているから、痛みもなく歩きやすい。
たまたまだろうけれど、そういうところにもきゅんとしてしまう。

「あれ、ひなたじゃん」
「おー」

静かな廊下が賑やかになったと思ったら、前から来た男子の集団とすれ違い、立ち止まった。
早川くんの友達みたいで、気を許した様子で話している。
話している最中にその中の1人が、チラッと私に視線を移した。

う……やっぱり他校生がいると目立つよね……

「えっなに?彼女!?」
「あのなぁ……」

想定外の質問に心が跳ね上がってしまう。

「可愛いじゃん、こんにちはー」
「あっ、こんにち……」
「いいから」

挨拶を返そうとしたところで、早川くんに遮られてしまった。
早川くんは男子集団を追い払うように手を振り、そのまま別れてまた2人になった。

彼女……
違うのに、ただ周りにそう言われただけなのにドキドキして、少し舞い上がっている自分がいる。

でも落ち着かなきゃ。早川くんも学校で妙なウワサになったら嫌だろうし。
そう思って、ちょっとだけ早川くんから距離を取って歩く。

「いいよ、気にしないで」
「え」
「それより、他校生が1人でいるように見える方が面倒だから、近くにいて」
「……うん」

ムズムズした気持ちになりながら、再びゆっくりと歩く。
着いた先は保健室だった。
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