地元なじみ。

早川くんが湿布を1枚箱から出してくれたので、私は長ズボンのジャージの裾をまくって、痛めた右足の足首を出す。

「……は?」
「え?」

早川くんが目を丸くしてピタッと固まる。
何この反応……私何か変なことしただろうか。

「いや、自分で貼らないの?」
「え、ごめん!貼ってくれるのかと……」
「なんでだよ」

えーそうなの?この流れで貼ってくれるものだと……
自分で貼るか、と思って手を伸ばそうとしたところで、ちょっといたずら心が生まれてきて、手を止める。

「……やっぱ貼ってくれない?貼る体勢になるとちょっとまだ痛くて」
「…………はぁ」

ごめん、本当は全然痛くないのだけれど。このウソを、甘えを許してほしい。
早川くんは湿布のフィルムをはがし、「どのへん?」とつぶやく。
場所を伝えて貼ってもらう。

自分で言っておいてだけれど……確かにちょっと恥ずかしいなぁ。
早川くんの耳も少し赤い気がする。
ため息をつきながらも、なんだかんだやってくれるところに優しさと愛おしさを感じる。
だからこそ……そんな人には、今日はもっとしっかりした自分の姿を見てもらいたかった。


色々な感情がこみ上げてくる。
気が付けば意図せずに、自分の頬を冷たいものが伝い落ちていた。
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