地元なじみ。
あれ、どうしよう。唇が動かない。
早川くんにも聞こえているのでは、というほどの大きな音を出している心臓が言葉よりも先に出てきそうで。
「好き」。たった2文字が出てこない。声が出ない。
目の前の優しい人は、さっきのこともあったからまた私が泣き出すのでは、とハラハラしているのがわかる。
でも、そんな姿もだんだんボヤけて焦点が合わなくなるほど、私の視界もテンパって真っ白になっていく。
ガラッ――
「あら、まだ残ってたの?」
女の先生が保健室のドアを開けて顔をのぞかせた。
その音で一気に視界がクリアになってくる。
「部活でケガして。もう帰ります」
「そう、すぐに帰るのよ。気をつけてね」
早川くんが先生とやり取りしてくれて、先生は去って行った。