地元なじみ。

バスに乗り込むと、後ろの方のバス停側の窓側の席が空いていたのでそこへ座る。
早川くんの方を見てもいいのか……いや、見てしまうと発車までの時間どうすればいいか緊張で困ってしまうから、スマホを取り出して見るフリをする。

全員が乗り込み、発車しそうになったので外を見る。
もういないかなとも思ったけれど、早川くんはまだバス停にいてくれた。

照れくさいけれど、発車と同時に小さく手を振ってみる。
バスが動き出して、もう早川くんの姿が見えなくなってしまう、というギリギリのタイミングで、早川くんが左手を軽くあげてくれたのが見えた。
それだけで十分だった。


バスに揺られながら、その姿と、今日あったこと、花火大会に行けるかもしれないこと。
それらをずっと頭の中で、繰り返し考えては嬉しくなっていた。
寝過ごさなかったけれど、考えすぎて舞い上がってしまい、降りるバス停を乗り過ごしそうになってしまったのは秘密。



家に帰ると、スマホに早川くんからのメッセージが届いた。

『いいって』

絵文字どころか句読点すらない、たった4文字のメッセージ。
だけれど、とてつもなく嬉しくて何度も見てしまう。

ふふっ、早川くんらしい。そして花火大会、行けるんだ……!


去年の夏に連絡先交換して以来、遅ればせながらこれが初めての連絡となった。

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