地元なじみ。
カラン カラン――

草履の音が響きながら、早川くんと2人で地元の駅に着いた。
早川くんいわく、他のみんなはお兄さんが倒れてきたあたりでもう出発していたらしい。

私たちはあの後、人が少なくなり空いたベンチに移動して、10分ほど2人で座っていた。
たった10分で、例によってほとんど会話はなかったのだけれど、幸せな時間だった。
席を立つ時まで私の足を気にしてくれて、罪悪感にかられると同時に、早川くんの優しさに心がぎゅっとなった。


私の家へ向かう駅のバス停。
ここは東口、早川くんの家は西口。こっちまで来てくれて、一緒にバスを待ってくれている。
一応断ったけれど、いいよ、の一点張りで来てくれた。本当に優しい。

「そういえば、俺の学校の近くにバスケコートあって。ストリートバスケっていうの?」
「え、そうなの?」
「周り草生えてるし、そんなきれいではないけど、あんま人いなくて穴場」
「いいな~自主練できるじゃん」
「……今度、来る?」
「いいの?」
「ふっ、別に俺のコートじゃないからいいんじゃない」

微笑みながら、額の汗をぬぐっている。

「夏休み明けのテスト終わったら、塾ない日に行くか」
「うん!」

夏休み後のテスト明け……まだ約2カ月もある。
だいぶ先だけど、約束ができて嬉しい。夏休みの部活も夏期講習も頑張れそう。
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