御曹司の契約妻が本物の妻として愛されるまで
◇
意識がぼんやりとする。
気付けば眠っていたようで、私はもぞりと体を動かした。
「おはよう、千尋」
「……?」
朝日が目に眩しい。それ以上に、目の前にいる蓮さんが眩しい。
寝起き特有の掠れた低い声と、まだ覚醒しきっていないとろんとした目。だけど私の体を抱き締める彼の腕は力強くて、私は声にならない悲鳴を上げた。
「!?!?!?」
「驚きすぎ。もうちょっと寝よう」
「……ぁ、あ゛」
声を出そうとするも、喉が嗄れている。
彼は私を強く抱き込むと、また眠ってしまった。
――そうだ、私……。
彼と最後までシてしまったのだ。
昨夜のあれやこれやを思い出し、じわりと頬を染める。
ひとり、彼の腕の中で百面相をしていると、蓮さんがフッと口元をゆるめた。
「可愛い」
「か、かわ……」
「あんまり朝からそういう顔をしないでほしいけど」
押し当てるだけのキスを額に送られて、いよいよキャパオーバーになる。
私は転がるように彼の腕から逃れると、ベッドの端に身を寄せた。
「もう起きるのか?」
「お、起きます。シャワーも、浴びたいので……」
「じゃあ、俺も一緒に」
あくびをひとつして、蓮さんが起き上がる。
このままだと本当に風呂場までついて来られるような気がして、私は慌てて脱衣所に駆け込むと鍵を閉めた。