御曹司の契約妻が本物の妻として愛されるまで
それから暫くして、玄関が騒がしくなった。
ドタドタと走ってくる楓くんの手には小さな袋が握られている。
どうやらお菓子を買ってもらったようで、ニコニコと嬉しそうに見せてくれた。
「ご飯食べてからだぞ」
「はーい」
「千尋、これ」
「ありがとうございます。早速、使います」
冷やさねばならないものを仕分けし、いますぐ使うものはキッチン台の端に置いていく。
ふりかけは三種類買ってきてくれたようで、私は炊けたばかりのご飯を器に盛ると、それぞれにふりかけをかけた。
みんなが作業しやすいように、ピンク、黄色、緑になったご飯を持って、ソファーへ向かう。
すると、カラフルなお米を見た楓くんが目を輝かせた。
「すごーい!」
「ここにご飯を置いて、ラップで包んでくるくる回すと……ほら、小さなおにぎりができた」
小さなおにぎりを取り出し、その場で海苔を切ってサッカーボールの形に貼っていく。
あっという間にカラフルなサッカーボールのおにぎりが出来上がって、楓くんもやりたいと手を伸ばした。
「随分と器用だ」
「そんなことないですよ。簡単ですし」
「かえでも! まるめる! サッカーボールにする!」
「なら、手を洗わないとな」