御曹司の契約妻が本物の妻として愛されるまで
「俺からはぐれないように」
「わかりました」
もう既に壁の花を決め込みたい気分だけれど、蓮さんは真っすぐ壇上のほうへと向かっていく。
壇上付近は関係者席になっているようで、蓮さんのご両親や蘭さんもいた。
「おぉ、やっと来たか」
「もう、来るのが遅すぎよ! 前半で紹介するつもりだったのにぃ」
お義母様が蓮さんを見るなり、ぷくっと頬を膨らませる。
相変わらず年齢不詳の少女のような出で立ちをしているが、今日は藍色の着物を召しているらしく、可憐さの中にもグループ代表の妻としての風格が際立った。
「楓と雪さんは?」
「二人は留守番させた。ほら、楓がはしゃいじゃうかもだし」
お久しぶりです、と蘭さんが挨拶をし、頭から足の先まで視線を動かして私を見る。
見定められているかのような視線に、思わず蓮さんの後ろに隠れた。
「へぇ、蓮にも着飾らせる趣味があったんだ」
「こら、あまりジロジロ見るな」
「むしろ、見せるために用意したんじゃないの? 千尋さんが自分で用意したとは思えないもの」
蘭さんがするりと私の右手を取る。
私の右手薬指で存在を主張するダイヤを見て、蘭さんが私の耳元に唇を寄せた。
「これの値段、教えてあげよっか」
「へ……?」
「やめろ、千尋に触るな。っていうか、近付くな」
「はいはい」
「わかりました」
もう既に壁の花を決め込みたい気分だけれど、蓮さんは真っすぐ壇上のほうへと向かっていく。
壇上付近は関係者席になっているようで、蓮さんのご両親や蘭さんもいた。
「おぉ、やっと来たか」
「もう、来るのが遅すぎよ! 前半で紹介するつもりだったのにぃ」
お義母様が蓮さんを見るなり、ぷくっと頬を膨らませる。
相変わらず年齢不詳の少女のような出で立ちをしているが、今日は藍色の着物を召しているらしく、可憐さの中にもグループ代表の妻としての風格が際立った。
「楓と雪さんは?」
「二人は留守番させた。ほら、楓がはしゃいじゃうかもだし」
お久しぶりです、と蘭さんが挨拶をし、頭から足の先まで視線を動かして私を見る。
見定められているかのような視線に、思わず蓮さんの後ろに隠れた。
「へぇ、蓮にも着飾らせる趣味があったんだ」
「こら、あまりジロジロ見るな」
「むしろ、見せるために用意したんじゃないの? 千尋さんが自分で用意したとは思えないもの」
蘭さんがするりと私の右手を取る。
私の右手薬指で存在を主張するダイヤを見て、蘭さんが私の耳元に唇を寄せた。
「これの値段、教えてあげよっか」
「へ……?」
「やめろ、千尋に触るな。っていうか、近付くな」
「はいはい」