政界のプリンスは年上彼女の溺愛を閣議決定しました!

第1話「桜を見る会」

 新宿の庭園に桜が咲き誇り、芝生に桜の花びらが舞い散る。
 政府主催の桜を見る会はもうすぐ始まる。
 舞い散る桜を手に取ったのは、政府高官の家族枠で招待された大学生、桜香子(さくらきょうこ)だ。
「ふふっ、綺麗」 
「──綺麗ですよね」
 話しかけてきたのは、格好良さと可愛らしさの両立する少年の声。
 振り返ると、彼女のセミロングの髪がふわりと靡いた。
 立っていたのは、香子よりも年下で背の高い少年。美男子と呼んで差し支えないであろう。
「これは失礼しました。世良田大学附属、秋津悠斗(あきつゆうと)と申します。つい話しかけてしまいました」
「あ、いえ。桜香子といいます」
「香子さんも家族枠ですか?」
「はい。父は……政府の参事官です」
 香子は財務省から内閣府に出向している父から、参加者にはVIPの子女もいるだろうから邪険にするなと言われていた。
「桜俊一参事官のご家族でしたか! 俺の父は秋津文彦です」
「秋津……」
 日本神話に詳しい香子は、日本の古き名であることを興味深く思った。
 だが、政府高官に秋津という名前はどうにも思い出せない。
 香子は一礼して、その場をあとにした。
 悠斗は残念そうな顔を浮かべた。

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