【番外編】あなたが白制服に着替えたら、それが愛のはじまり


ようやく目的地の島についた二人。

そこは小さな島だった。
レンタルサイクルで二日間もゆっくりとまわれば島一周ができてしまう。

どこからでも透明度の高い青い海に魅せられた。
自転車で広大なサトウキビ畑の中を風を切って走り抜ける。
昼は町の食堂で地元の郷土料理を堪能した。
そして夕方には浜辺に座り海に沈んでゆくサンセットを眺めた。

島の自然を体いっぱいに感じる最高な過ごし方だった。
何事もなく時間が過ぎて行った。


そして、最終日の前日のことだった。

夏帆が突然、自転車を止めた。
そして周りをきょろきょろと見回し始めた。

「どうしたの?」
柊慈は夏帆に訊ねた。
「なんだろう。ちょっと歩いていい?」
自転車を止めて夏帆は思いのままに進んでゆく。

「そっちは草が生い茂ってるから、それ以上は入ってはダメだ」
柊慈が夏帆の腕を掴んだ。

「あ…うん」

そして古びた看板が目に入る。
その看板には『鍾乳洞はこちら』と書かれていた。
今は手つかずになっているが、昔は観光スポットとして存在していたのだろう。

この草むらの先に船長が言っていた洞窟がある。

霊場。それはあの世とこの世が交差する場所。
同じく霊場である恐山でも妊婦は行くなと迷信的に信じられている。

(きっと誰かが私をここに導いたのね。
 一体、誰だったんだろう…)

しかし夏帆もこれ以上、追及する気はなかった。
ただここに来れた達成感からその場で手を合わせた。

(ありがとう。私、少しづつ元気になってます)




その夜。

柊慈は布団の上で腕を枕にして寝転がっていた。
「たまにはこういう旅行もいいな」
夏帆の付き合いで来た柊慈も予想外に楽しむことができた。
「夏帆の調子はどう?」
「うん、元気になったよ。綺麗な海を見て美味しい食事をして心がすっきりした」
夏帆は髪の毛をとかし満足げに笑った。
「よかったな」
「うん。付き合ってくれてありがとう。柊慈さん」

二人は仲良く布団で眠るのだった。


そして不思議な出来事が起こったのは真夜中のことであった。

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