勘違い一夜から始まる極甘策士なドクターの激愛婚〜偽装結婚は旦那様の甘い罠でした〜
『でもあいつ、足にすげぇ痣があるから。見た目キモいし、たぶんヤるときにそれ見たら萎えるよ。普段から反応も悪いし、楽しくなさそうじゃね?』

 まさかの心ない言葉が彼の口から飛び出し、私は呼吸が止まりそうなほどショックを受けた。

 反応が悪い性格に関しては、相性もあるからなんとも言えない。でも痣は……。

 おそらく磯ヶ谷くんは、男女混合だった中学での水泳の授業で目撃したのだろう。もしかして、当時も友達とそんなふうに話していたんだろうか。

 たしかに目立つけれど、仕方のないものなのに。自分ではどうしようもないのに……。

 後退りして逃げるように走りだすと同時に、自尊心のようなものが崩れていく感覚を覚えた。初恋だった、甘酸っぱい気持ちも。

 悪態をついたのがほかの人なら、まだ耐えられたと思う。自分にとって特別な存在の彼に言われたのが、なによりつらくて悲しかった。

 それがきっかけで、恋愛はなかなかできなかった。彼の言葉に影響されて、少しでも印象がよくなるように笑顔を作るようにもなった。

 そうして、ようやく好きかもと思う人ができたのは、大学生活が終わる頃。その人と付き合っていい雰囲気になっても、身体を見せるのに抵抗があって、拒んでいるうちに興味をなくされてしまった。

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