腹黒王子の愛は、激甘でした。

2話 王子様の裏の顔

「と、東条先輩!?!?」

私の声に東条先輩はハッとしたように我に返った。

「こんにちは咲良さん、わざわざここまで書類を届けてくれてありがとう。」

さっきの人とは別人のようにそう言ってニコッと綺麗な笑顔を浮かべた。

本来であれば憧れの先輩と話せた上に名前を呼んでもらえたなんて昇天するほど喜んだだろう。

しかし、さっき見てしまった先輩と今の先輩のギャップがすごすぎて頭がパニックを起こしていた。

(さっきのって先輩だよね!?)

でもすぐいつもの先輩に戻ったし見間違いだった?

いや、ずっと憧れてきた先輩を私が見間違えるわけない!

私が考え込んで何も喋れないでいると、

「諦めろよ、颯汰。さすがに無理がある。」

奥の部屋からもう1人出てきたその人は爽やかな雰囲気のイケメンさんだった。

(美形な人の友達も美形って話本当だったんだなぁ…)

なんて場違いな事を考えていると、

「ごめんね。びっくりさせちゃったかな?」

「俺の名前は白流(はくりゅう)廉(れん)。生徒会副会長で、颯汰の友達。」

その人はそう自己紹介した。

靴の色が青ってことは2年生なのだろう。

つまり白流さんは1つ上の先輩という事だ。

(それよりもさっきから東条先輩の視線が痛くてしょうがない…)

(早くこの場から逃げよう!)

「いえ!こちらこそお忙しい中、急に押しかけたりしてすみませんでした!」

私はそう言い残して急いでドアに向かおうとすると、

「咲良さんちょっと待って。」

東条先輩の凛とした声が静かに響いた。

(やばいっ!さすがになんかマズイ気がする…!)

「す、すみません!急いでいるので…!」

私は全力で生徒会室を飛び出した。

 * * *

次の日の朝、明日華に昨日の事を話そうと急いで階段を登っていると教室の方がなぜか賑やかになっていた。

(なんだろう、すごく嫌な予感がする…)

私は出来るだけ気配を消して廊下を確認してみると、

私の教室の入り口に東条先輩の姿が!

(もしかして昨日勝手に出て行った事怒ってるんじゃ…)

(でもただの自意識過剰かも…)

私が悩んでなかなか教室に入れないでいると

「おはよう、咲良さん。」

「ひゃあっ!」

突然、東条先輩の方から声をかけられて思わず変な声をあげてしまった。

ううっ…恥ずかしすぎる…

私はあまり恥ずかしさに顔を背けてしまった。

すると東条先輩は

「あれ?顔真っ赤だよ。大丈夫?」

と心配そうに私の顔を覗き込んだ後なんと私をお姫様抱っこしたのだ!

「と、東条先輩!大丈夫です!元気ですから降ろしてください!」

「いや、まだ顔真っ赤だしそれに…」

東条先輩は綺麗に柔らかく微笑んで

「僕、咲良さんのこと心配だから、こうさせて?」

まさに王子様のような振る舞いに思わずキュンとしてしまう。

だってこれは反則すぎるっ!

この一連の様子を見ていた周りが一気にワァッと盛り上がった。

先輩のカッコよさに黄色い歓声をあげる女子たちもいれば、私の存在に悲鳴をあげる女子もいる。

まさしくカオス状態だ。

出来る事なら今すぐこの場から逃げ出して静かに過ごしたい。

「ごめんね、みんな。咲良さん体調悪いみたいだから保健室に連れて行ってくるね。保健委員の人は先生に伝言をお願い出来るかな?」


さすが生徒会長!
全体をまとめるのがすごく上手。

「じゃあまた今度お話ししようね。」

そう言って微笑んだ後、東条先輩は歩き出した。

 * * *

教室から離れて静かになった途端、絶妙な気まずさが2人の間に流れる。

「あの…東条先輩、お気遣いありがとうございます。
でも本当に体調は元気なので…」

大丈夫です。と続けようとした時

「何勘違いしてるの。これは僕の為にやってるだけだけど。」

東条先輩は見たことないような黒い不気味な笑顔を浮かべて言った。

「君には大事な話があるから。」

私の人生終わったかも…

憧れの先輩にお姫様抱っこされるなんて夢のような状況がこうも地獄になるなんて…

神様、助けてください。(泣)



























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