腹黒王子の愛は、激甘でした。
38話 それぞれの想いを抱えて
Side 咲良 優
ベッドの上に寝転びながら、私は何度もスマホの画面を見ていた。
(明日……颯汰先輩とお出かけ……)
画面には、さっき決めた待ち合わせのメッセージ。
たったそれだけなのに、胸がずっとそわそわしている。
(どうしよう、全然落ち着かない……!)
ごろっと寝返りを打って、枕に顔をうずめる。
顔が熱い。
理由なんて、分かってる。
(これって……デート、だよね……?)
口に出した瞬間、余計に意識してしまって、
「むりむりむり……!」
小さく声を上げてしまう。
でも――
(楽しみ……)
その気持ちが、一番大きい。
何着ていこうとか、
どこに行くのかなとか、
何話そうとか。
考えるたびに、自然と笑みがこぼれてしまう。
(颯汰先輩と、2人で……)
その想像だけで、胸がきゅっとなる。
前みたいに、顔も見れないほどドキドキするわけじゃない。
でも――
(やっぱり、特別だな)
ぽつりと、心の中で呟く。
ゆっくりと目を閉じる。
(明日、楽しみだな……)
そのまま私は、
ふわふわとした気持ちのまま眠りについた。
* * *
Side 東条 颯汰
机の上に置いたスマホを、何度も見てしまう。
(……落ち着け)
自分に言い聞かせて、視線を逸らす。
けど、数秒後にはまた見ている。
(なんなんだ、これ)
小さくため息をついた。
明日の予定。
ただ優と出かけるだけ。
それだけのはずなのに――
(こんなに緊張する?普通)
苦笑が漏れる。
今まで誰かと出かけることなんて何度もあった。
でも、こんな気持ちは初めてだった。
何を話そうか。
どこに連れて行こうか。
楽しんでもらえるだろうか。
そんなことばかり、ぐるぐる考えている。
(……余裕ないな)
正直、少しだけ悔しい。
でも、それ以上に。
(楽しみだな)
その気持ちの方が強い。
優の笑顔が浮かぶ。
あの、無邪気な笑い方。
嬉しそうに話す声。
それを思い出すだけで、自然と口元が緩む。
(ちゃんと、伝えられるかな)
ふと、そんな考えがよぎる。
でもすぐに首を横に振る。
(……いや、まだいいか)
焦る必要はない。
でも――
(譲る気はないから)
静かに、目を細める。
廉の顔が頭をよぎる。
あいつの言葉も。
『早く付き合えって』
(分かってるよ)
小さく呟く。
「明日、か……」
ぽつりと声に出す。
その一言に、少しだけ気持ちが引き締まる。
(ちゃんと、向き合おう)
そう決めて、スマホの画面をそっと伏せた。
* * *
Side 白流 廉
部屋の天井を見上げながら、ぼーっとしていた。
(明日、か)
考えなくても分かる。
あの2人が出かける日。
「……はは」
小さく笑いがこぼれる。
(ちゃんと進んでるじゃん)
それは、素直に嬉しい。
颯汰はずっと優のことを見てた。
優も、あいつといるときは特別な顔してる。
だから――
(うまくいけばいい)
そう思うのに。
胸の奥が、じわっと痛む。
(……ほんと、分かりやすいな俺)
目を閉じる。
浮かぶのは、優の顔。
あのまっすぐな言葉。
笑顔。
自分に向けられた、優しさ。
(好きにならない方が無理だろ)
苦笑が漏れる。
でも。
「……遅いんだよな」
ぽつりと呟く。
全部、遅かった。
気づくのも。
自覚するのも。
一歩踏み出すのも。
(最初から勝てる勝負じゃないって分かってたのに)
それでも、諦めきれない自分がいる。
「……だる」
ぼそっと吐き捨てて、腕で目を隠す。
(応援するって言ったくせに)
(ちゃんと送り出そうって思ってたのに)
なのに。
(明日、何してんのかなって考えてる自分がいる)
胸が、ぎゅっと締めつけられる。
「……ほんと最悪」
小さく吐き出す。
でも、そのあとに。
ふっと力が抜けた。
「……ま、いっか」
静かに息を吐く。
(あの2人が笑ってるなら、それでいい)
それは、嘘じゃない。
本音だ。
だから――
(この想いは、しっかり隠さないと)
誰にも聞こえないように、そう呟いた。
静かな夜。
答えの出ない感情を抱えたまま、
廉はゆっくりと目を閉じた。
ベッドの上に寝転びながら、私は何度もスマホの画面を見ていた。
(明日……颯汰先輩とお出かけ……)
画面には、さっき決めた待ち合わせのメッセージ。
たったそれだけなのに、胸がずっとそわそわしている。
(どうしよう、全然落ち着かない……!)
ごろっと寝返りを打って、枕に顔をうずめる。
顔が熱い。
理由なんて、分かってる。
(これって……デート、だよね……?)
口に出した瞬間、余計に意識してしまって、
「むりむりむり……!」
小さく声を上げてしまう。
でも――
(楽しみ……)
その気持ちが、一番大きい。
何着ていこうとか、
どこに行くのかなとか、
何話そうとか。
考えるたびに、自然と笑みがこぼれてしまう。
(颯汰先輩と、2人で……)
その想像だけで、胸がきゅっとなる。
前みたいに、顔も見れないほどドキドキするわけじゃない。
でも――
(やっぱり、特別だな)
ぽつりと、心の中で呟く。
ゆっくりと目を閉じる。
(明日、楽しみだな……)
そのまま私は、
ふわふわとした気持ちのまま眠りについた。
* * *
Side 東条 颯汰
机の上に置いたスマホを、何度も見てしまう。
(……落ち着け)
自分に言い聞かせて、視線を逸らす。
けど、数秒後にはまた見ている。
(なんなんだ、これ)
小さくため息をついた。
明日の予定。
ただ優と出かけるだけ。
それだけのはずなのに――
(こんなに緊張する?普通)
苦笑が漏れる。
今まで誰かと出かけることなんて何度もあった。
でも、こんな気持ちは初めてだった。
何を話そうか。
どこに連れて行こうか。
楽しんでもらえるだろうか。
そんなことばかり、ぐるぐる考えている。
(……余裕ないな)
正直、少しだけ悔しい。
でも、それ以上に。
(楽しみだな)
その気持ちの方が強い。
優の笑顔が浮かぶ。
あの、無邪気な笑い方。
嬉しそうに話す声。
それを思い出すだけで、自然と口元が緩む。
(ちゃんと、伝えられるかな)
ふと、そんな考えがよぎる。
でもすぐに首を横に振る。
(……いや、まだいいか)
焦る必要はない。
でも――
(譲る気はないから)
静かに、目を細める。
廉の顔が頭をよぎる。
あいつの言葉も。
『早く付き合えって』
(分かってるよ)
小さく呟く。
「明日、か……」
ぽつりと声に出す。
その一言に、少しだけ気持ちが引き締まる。
(ちゃんと、向き合おう)
そう決めて、スマホの画面をそっと伏せた。
* * *
Side 白流 廉
部屋の天井を見上げながら、ぼーっとしていた。
(明日、か)
考えなくても分かる。
あの2人が出かける日。
「……はは」
小さく笑いがこぼれる。
(ちゃんと進んでるじゃん)
それは、素直に嬉しい。
颯汰はずっと優のことを見てた。
優も、あいつといるときは特別な顔してる。
だから――
(うまくいけばいい)
そう思うのに。
胸の奥が、じわっと痛む。
(……ほんと、分かりやすいな俺)
目を閉じる。
浮かぶのは、優の顔。
あのまっすぐな言葉。
笑顔。
自分に向けられた、優しさ。
(好きにならない方が無理だろ)
苦笑が漏れる。
でも。
「……遅いんだよな」
ぽつりと呟く。
全部、遅かった。
気づくのも。
自覚するのも。
一歩踏み出すのも。
(最初から勝てる勝負じゃないって分かってたのに)
それでも、諦めきれない自分がいる。
「……だる」
ぼそっと吐き捨てて、腕で目を隠す。
(応援するって言ったくせに)
(ちゃんと送り出そうって思ってたのに)
なのに。
(明日、何してんのかなって考えてる自分がいる)
胸が、ぎゅっと締めつけられる。
「……ほんと最悪」
小さく吐き出す。
でも、そのあとに。
ふっと力が抜けた。
「……ま、いっか」
静かに息を吐く。
(あの2人が笑ってるなら、それでいい)
それは、嘘じゃない。
本音だ。
だから――
(この想いは、しっかり隠さないと)
誰にも聞こえないように、そう呟いた。
静かな夜。
答えの出ない感情を抱えたまま、
廉はゆっくりと目を閉じた。