腹黒王子の愛は、激甘でした。
42話 幼馴染の2人
「……ありがと」
廉先輩はそう言って、私から少しだけ距離を取った。
さっきまでの近さが嘘みたいに、空気が少しだけ落ち着く。
「その…さっきの」
「俺のことで怒ってくれてたやつ」
ぶっきらぼうだけど、どこか照れたような声。
「嬉しかった」
「え…」
思わず目を見開く。
「俺、ああいうの慣れてるし、気にしないようにしてたんだけど」
少しだけ視線を逸らして、
「でも優があんな風に言ってくれて……ちょっと救われた」
そう言って、ふっと小さく笑った。
その表情は、いつもの軽い笑顔じゃなくて、
どこか柔らかくて、素直で――
胸がじんわり温かくなる。
「……当然です」
私は少しだけ照れながらも、しっかりと答えた。
「廉先輩はすごい人ですから」
まっすぐに言うと、
廉先輩は一瞬だけ固まってから、
「……ほんと、そういうとこね」
と苦笑した。
「え?」
「いや、なんでもない」
軽く流してから、
「ほら、忘れ物取りに行くんでしょ」
と教室の方を指す。
「あ、はい!」
さっきまでの空気が少し和らいで、
私は小さく息をついた。
「じゃあ行ってきます!」
「うん。またね」
短く返事をしてくれる。
その声を聞いてから、
私は教室へと駆けていった。
* * *
side 白流 廉
優の姿が見えなくなってから、
しばらくその場に立ち尽くす。
(……完全にやられたな)
小さく息を吐いて、
手をグッと握りしめる。
気持ちに気づいた今、
もう誤魔化すことはできない。
「……はぁ」
そのまま歩き出して、
自然と足は生徒会室へ向かっていた。
ガラッ
扉を開けると、
中には一人だけ、颯汰がいた。
「廉?」
書類から顔を上げて、少しだけ驚いたようにこっちを見る。
「もう帰ったかと思ってた」
「まあ、ちょっと色々あって」
軽く返して、近くの椅子に腰を下ろす。
少しの沈黙。
言わなきゃいけないことは分かってるのに、
言葉が出てこない。
(……ダサいな、俺)
小さく息を吐いてから、口を開く。
「なあ、颯汰」
「ん?」
まっすぐこっちを見る視線。
逃げられないな、と思いながら
「やっぱり俺、颯汰のこと応援できない」
ぽつりと、そう言った。
空気が一瞬止まる。
「……ごめん」
視線を落としたまま続ける。
「今まで応援するつもりだったし、そのつもりでいたけど」
「無理だった」
正直に、全部吐き出す。
「俺も、優のことが好き」
静かに言い切る。
その言葉を聞いて、
颯汰は少しだけ目を見開いた。
でも、驚いた顔はすぐに消えて――
「……そっか」
静かにそう返した。
怒るでもなく、
責めるでもなく。
ただ、じっとこっちを見ている。
「廉がそんな風になってるの、初めて見た」
ぽつりと呟く。
「え?」
思わず顔を上げると、
颯汰は少しだけ苦笑していた。
「いつも余裕って感じだったじゃん」
「何でも軽く流して、困っても笑ってて」
「正直、廉がこんなに必死になることあるんだって思った」
その言葉に、
胸の奥が少しだけチクッとする。
「……うるせえよ」
苦笑しながら返す。
「自分でもびっくりしてるって」
そう言うと、
颯汰はふっと小さく笑った。
「でも、ちょっと安心した」
「は?」
意味が分からなくて眉をひそめる。
「俺だけじゃなかったんだなって」
静かに続ける。
「優のことで、こんなに余裕なくなるの」
その言葉に、
思わず目を見開く。
(……颯汰も?)
「俺さ」
少しだけ視線を落として、
「最近、自分でも分かるくらい余裕なくて」
「優のことになると、冷静でいられなくなる」
正直にそう言った。
それを聞いて、
胸の奥がじんわりと熱くなる。
(ああ、こいつも同じか)
少しだけ肩の力が抜けた。
「……なんだよ、それ」
思わず笑う。
「完璧な会長様もそんな感じなんだ」
「うるさい」
颯汰も少しだけ笑い返す。
その空気が、
昔みたいで。
どこか懐かしくて、少しだけ安心する。
少しの沈黙のあと、
颯汰がまっすぐこっちを見た。
「別に謝らなくていいよ」
静かだけど、はっきりとした声。
「譲る気なんかないから」
その言葉に、思わず口元が緩む。
「……ははっ」
「だよな」
立ち上がって、軽く肩を回す。
「こっちもそのつもり」
颯汰を見て、ニヤッと笑う。
「ありがとう」
その一言に、
全部の意味を込めて。
「でも」
少しだけ目を細めて、
「負けねえから」
真っ直ぐに言い切った。
颯汰も同じように、まっすぐ見返してくる。
今まで心の中にあった黒い感情が、やっと軽くなったような気がした。
廉先輩はそう言って、私から少しだけ距離を取った。
さっきまでの近さが嘘みたいに、空気が少しだけ落ち着く。
「その…さっきの」
「俺のことで怒ってくれてたやつ」
ぶっきらぼうだけど、どこか照れたような声。
「嬉しかった」
「え…」
思わず目を見開く。
「俺、ああいうの慣れてるし、気にしないようにしてたんだけど」
少しだけ視線を逸らして、
「でも優があんな風に言ってくれて……ちょっと救われた」
そう言って、ふっと小さく笑った。
その表情は、いつもの軽い笑顔じゃなくて、
どこか柔らかくて、素直で――
胸がじんわり温かくなる。
「……当然です」
私は少しだけ照れながらも、しっかりと答えた。
「廉先輩はすごい人ですから」
まっすぐに言うと、
廉先輩は一瞬だけ固まってから、
「……ほんと、そういうとこね」
と苦笑した。
「え?」
「いや、なんでもない」
軽く流してから、
「ほら、忘れ物取りに行くんでしょ」
と教室の方を指す。
「あ、はい!」
さっきまでの空気が少し和らいで、
私は小さく息をついた。
「じゃあ行ってきます!」
「うん。またね」
短く返事をしてくれる。
その声を聞いてから、
私は教室へと駆けていった。
* * *
side 白流 廉
優の姿が見えなくなってから、
しばらくその場に立ち尽くす。
(……完全にやられたな)
小さく息を吐いて、
手をグッと握りしめる。
気持ちに気づいた今、
もう誤魔化すことはできない。
「……はぁ」
そのまま歩き出して、
自然と足は生徒会室へ向かっていた。
ガラッ
扉を開けると、
中には一人だけ、颯汰がいた。
「廉?」
書類から顔を上げて、少しだけ驚いたようにこっちを見る。
「もう帰ったかと思ってた」
「まあ、ちょっと色々あって」
軽く返して、近くの椅子に腰を下ろす。
少しの沈黙。
言わなきゃいけないことは分かってるのに、
言葉が出てこない。
(……ダサいな、俺)
小さく息を吐いてから、口を開く。
「なあ、颯汰」
「ん?」
まっすぐこっちを見る視線。
逃げられないな、と思いながら
「やっぱり俺、颯汰のこと応援できない」
ぽつりと、そう言った。
空気が一瞬止まる。
「……ごめん」
視線を落としたまま続ける。
「今まで応援するつもりだったし、そのつもりでいたけど」
「無理だった」
正直に、全部吐き出す。
「俺も、優のことが好き」
静かに言い切る。
その言葉を聞いて、
颯汰は少しだけ目を見開いた。
でも、驚いた顔はすぐに消えて――
「……そっか」
静かにそう返した。
怒るでもなく、
責めるでもなく。
ただ、じっとこっちを見ている。
「廉がそんな風になってるの、初めて見た」
ぽつりと呟く。
「え?」
思わず顔を上げると、
颯汰は少しだけ苦笑していた。
「いつも余裕って感じだったじゃん」
「何でも軽く流して、困っても笑ってて」
「正直、廉がこんなに必死になることあるんだって思った」
その言葉に、
胸の奥が少しだけチクッとする。
「……うるせえよ」
苦笑しながら返す。
「自分でもびっくりしてるって」
そう言うと、
颯汰はふっと小さく笑った。
「でも、ちょっと安心した」
「は?」
意味が分からなくて眉をひそめる。
「俺だけじゃなかったんだなって」
静かに続ける。
「優のことで、こんなに余裕なくなるの」
その言葉に、
思わず目を見開く。
(……颯汰も?)
「俺さ」
少しだけ視線を落として、
「最近、自分でも分かるくらい余裕なくて」
「優のことになると、冷静でいられなくなる」
正直にそう言った。
それを聞いて、
胸の奥がじんわりと熱くなる。
(ああ、こいつも同じか)
少しだけ肩の力が抜けた。
「……なんだよ、それ」
思わず笑う。
「完璧な会長様もそんな感じなんだ」
「うるさい」
颯汰も少しだけ笑い返す。
その空気が、
昔みたいで。
どこか懐かしくて、少しだけ安心する。
少しの沈黙のあと、
颯汰がまっすぐこっちを見た。
「別に謝らなくていいよ」
静かだけど、はっきりとした声。
「譲る気なんかないから」
その言葉に、思わず口元が緩む。
「……ははっ」
「だよな」
立ち上がって、軽く肩を回す。
「こっちもそのつもり」
颯汰を見て、ニヤッと笑う。
「ありがとう」
その一言に、
全部の意味を込めて。
「でも」
少しだけ目を細めて、
「負けねえから」
真っ直ぐに言い切った。
颯汰も同じように、まっすぐ見返してくる。
今まで心の中にあった黒い感情が、やっと軽くなったような気がした。