腹黒王子の愛は、激甘でした。

43話 バトル勃発!?

翌日、昼休み。

私はいつものようにお弁当を持って、噴水前へ向かっていた。

(今日は颯汰先輩とランチの日だよね…!)

そう思って歩いていると――

「優」

後ろから声をかけられる。

振り返ると、そこには廉先輩がいた。

「廉先輩!こんにちは!」

笑顔で挨拶すると、

廉先輩はいつも通り軽く手を上げて、

「今日空いてる?」

と、さらっと聞いてきた。

「え?」

思わずきょとんとする。

(今日って…颯汰先輩と約束…)

そう言おうとした瞬間。

「優」

今度は前から、もう一人の声。

(……っ)

顔を上げると、

そこには颯汰先輩が立っていた。

「今日、一緒に食べる約束してたよね」

にこっと微笑みながら言うけど、

その目はしっかりこっちを見ている。

(え、ちょっと待って…この状況なに!?)

左右にそれぞれ立つ2人。

逃げ場がない。

「えっと、その…」

言葉に詰まっていると、

先に動いたのは廉先輩だった。

「じゃあさ」

一歩近づいてくる。

「今日は3人で食べる?」

さらっと言う。

「え?」

思わず声が出る。

(え、それアリなの!?)

すると――

「それはダメ」

即答したのは颯汰先輩だった。

(は、早い…!)

「今日は優と2人で話したいことあるから」

そう言って、

さりげなく私の手首を軽く引く。

(ちょ、距離近い…!)

ドキッとした瞬間――

「へぇ」

廉先輩の声が少しだけ低くなる。

「俺もあるけど」

そう言って、

反対側から私の腕を軽く引いた。

「優に話したいこと」

(え、ちょっと待ってほんとに何この状況!?)

完全に板挟み。

しかも2人とも、笑ってるのに全然引かない。

「どっち選ぶ?」

廉先輩が面白そうに言う。

「優」

颯汰先輩は静かに名前を呼ぶだけ。

(む、無理無理無理無理!!)

心臓がバクバクして、

頭が真っ白になる。

「えっと……あの……」

視線を行ったり来たりさせていると、

ふっ、と廉先輩が小さく笑った。

「……冗談だよ」

腕の力をふっと抜く。

「そんな困らせたい訳じゃないから」

そう言いながら、

一歩下がる。

「今日は颯汰と行きな」

軽く手をひらひらさせる。

「え…でも…」

戸惑っていると、

「ほら、約束してたんでしょ」

少しだけ優しく言う。

「ちゃんと守らないと」

その言葉に、胸がきゅっとなる。

(廉先輩…)

ちらっと颯汰先輩を見ると、

ほんの一瞬だけ複雑そうな顔をしていたけど、

すぐにいつもの表情に戻った。

「……じゃあ行こうか、優」

そっと私の方へ手を差し出す。

「は、はい…!」

私はその手を取って、

颯汰先輩の隣に並んだ。

歩き出す直前、

ふと振り返ると――

廉先輩が、いつもの笑顔で手を振っていた。

でもその目は、

どこか少しだけ――

寂しそうに見えた気がした。
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