腹黒王子の愛は、激甘でした。
44話 安心する存在
昼休み。
いつもの噴水前。
颯汰先輩と並んで座りながら、お弁当を広げる。
他愛もない会話。
テストの話、クラスの話。
そのどれもが、心地いいはずなのに――
(なんか、ちょっとだけ落ち着かない…)
「この前のテスト、どうだった?」
「えっと…思ったよりはできました!」
「へえ、頑張ったんだね」
優しく笑う颯汰先輩。
その表情に、胸がきゅっとなる。
(やっぱり好きだな…)
そう思った瞬間、
「最近さ」
不意に、颯汰先輩が口を開いた。
「優、ちょっと変わったよね」
「……え?」
ドクン、と心臓が跳ねる。
「なんていうか…前より少し距離ある気がする」
(そ、それは先輩の事を意識しちゃってるからで…)
「そ、そんなことないですよ!」
慌てて否定するけど、
颯汰先輩はじっと私を見つめてくる。
逃げられない。
「ほんとに?」
「……っ」
言葉が詰まる。
(どうしよう…)
(本当のことなんて言えない…)
「もし何かあったなら、ちゃんと話してほしい」
「俺、優のこと分からなくなるの嫌だから」
その言葉に胸が締め付けられる。
(ちゃんと向き合わなきゃって思ってるのに…)
(まだ、心の準備が…)
「私は……」
言葉が上手く出てこなくて口をつぐんでしまう。
私はなんとなく視線を落としたまま、言葉を探していた。
すると、
「……優」
低く、少しだけ真剣な声。
顔を上げると、
颯汰先輩がまっすぐこちらを見ていた。
ドクン、とまた心臓が鳴る。
「優さ」
颯汰先輩は少しだけ言葉を選ぶように間を置いてから、
「最近、俺より廉と話す方が自然に見える」
「……え?」
思わず目を見開く。
「さっきも、俺と話してるときより楽しそうだった気がして」
その言葉に、胸がぎゅっと締め付けられる。
(そんなことないのに…!)
「ち、違います!」
思わず強く否定してしまう。
「私、そんなつもりじゃ――」
言いかけて、止まる。
(じゃあ、なんでこんなにうまく話せないの…?)
颯汰先輩の前だと、意識しすぎて言葉が詰まる。
それだけなのに――
「……ごめん」
ぽつりと、颯汰先輩が呟いた。
「こんなこと聞くつもりじゃなかったんだけど」
少しだけ困ったように笑う。
「でも、気になってる自分がいて」
その表情は、いつもみたいに余裕があるものじゃなくて――
(……あれ?)
(颯汰先輩、もしかして…不安になってる?)
初めて見るその姿に、胸がぎゅっとなる。
(私のせいだ…)
「颯汰先輩」
私は一歩、少しだけ近づいた。
「廉先輩と話すのは…確かに楽しいです」
正直に言う。
でも、そのまま続けた。
「でもそれと、颯汰先輩とは全然違います」
「……違う?」
「はい」
ちゃんと伝えなきゃ。
「颯汰先輩といると…その……」
(やばい、言葉にできない…!)
顔が一気に熱くなる。
「ちょっと、うまく話せなくなるだけで…」
精一杯、絞り出した言葉。
沈黙が落ちる。
颯汰先輩は、少しだけ驚いたような顔をしていた。
そして――
「……そっか」
ふっと、柔らかく笑った。
「それ聞いて安心した」
その言葉に、胸の奥がじんわり温かくなる。
「ごめんね、変なこと聞いて」
「い、いえ!」
私はぶんぶんと首を振る。
(ちゃんと伝えられた…かな…?)
少しだけ、空気が軽くなる。
だけど――
お互いに“全部”は言えていない。
それでも、
さっきよりは確実に距離が近づいた気がした。
そして私はまだ気づいていない。
このやり取りをきっかけに、
颯汰先輩の中で、何かが大きく動き始めていることに――。
いつもの噴水前。
颯汰先輩と並んで座りながら、お弁当を広げる。
他愛もない会話。
テストの話、クラスの話。
そのどれもが、心地いいはずなのに――
(なんか、ちょっとだけ落ち着かない…)
「この前のテスト、どうだった?」
「えっと…思ったよりはできました!」
「へえ、頑張ったんだね」
優しく笑う颯汰先輩。
その表情に、胸がきゅっとなる。
(やっぱり好きだな…)
そう思った瞬間、
「最近さ」
不意に、颯汰先輩が口を開いた。
「優、ちょっと変わったよね」
「……え?」
ドクン、と心臓が跳ねる。
「なんていうか…前より少し距離ある気がする」
(そ、それは先輩の事を意識しちゃってるからで…)
「そ、そんなことないですよ!」
慌てて否定するけど、
颯汰先輩はじっと私を見つめてくる。
逃げられない。
「ほんとに?」
「……っ」
言葉が詰まる。
(どうしよう…)
(本当のことなんて言えない…)
「もし何かあったなら、ちゃんと話してほしい」
「俺、優のこと分からなくなるの嫌だから」
その言葉に胸が締め付けられる。
(ちゃんと向き合わなきゃって思ってるのに…)
(まだ、心の準備が…)
「私は……」
言葉が上手く出てこなくて口をつぐんでしまう。
私はなんとなく視線を落としたまま、言葉を探していた。
すると、
「……優」
低く、少しだけ真剣な声。
顔を上げると、
颯汰先輩がまっすぐこちらを見ていた。
ドクン、とまた心臓が鳴る。
「優さ」
颯汰先輩は少しだけ言葉を選ぶように間を置いてから、
「最近、俺より廉と話す方が自然に見える」
「……え?」
思わず目を見開く。
「さっきも、俺と話してるときより楽しそうだった気がして」
その言葉に、胸がぎゅっと締め付けられる。
(そんなことないのに…!)
「ち、違います!」
思わず強く否定してしまう。
「私、そんなつもりじゃ――」
言いかけて、止まる。
(じゃあ、なんでこんなにうまく話せないの…?)
颯汰先輩の前だと、意識しすぎて言葉が詰まる。
それだけなのに――
「……ごめん」
ぽつりと、颯汰先輩が呟いた。
「こんなこと聞くつもりじゃなかったんだけど」
少しだけ困ったように笑う。
「でも、気になってる自分がいて」
その表情は、いつもみたいに余裕があるものじゃなくて――
(……あれ?)
(颯汰先輩、もしかして…不安になってる?)
初めて見るその姿に、胸がぎゅっとなる。
(私のせいだ…)
「颯汰先輩」
私は一歩、少しだけ近づいた。
「廉先輩と話すのは…確かに楽しいです」
正直に言う。
でも、そのまま続けた。
「でもそれと、颯汰先輩とは全然違います」
「……違う?」
「はい」
ちゃんと伝えなきゃ。
「颯汰先輩といると…その……」
(やばい、言葉にできない…!)
顔が一気に熱くなる。
「ちょっと、うまく話せなくなるだけで…」
精一杯、絞り出した言葉。
沈黙が落ちる。
颯汰先輩は、少しだけ驚いたような顔をしていた。
そして――
「……そっか」
ふっと、柔らかく笑った。
「それ聞いて安心した」
その言葉に、胸の奥がじんわり温かくなる。
「ごめんね、変なこと聞いて」
「い、いえ!」
私はぶんぶんと首を振る。
(ちゃんと伝えられた…かな…?)
少しだけ、空気が軽くなる。
だけど――
お互いに“全部”は言えていない。
それでも、
さっきよりは確実に距離が近づいた気がした。
そして私はまだ気づいていない。
このやり取りをきっかけに、
颯汰先輩の中で、何かが大きく動き始めていることに――。