電話越しで恋をした副社長から、突然プロポーズされました

月曜日になりいつもと変わらぬ朝がやってくる。
身支度を済ませ出勤をして、部署内の掃除をしてからパソコンの電源をつけた。
先週に残していた仕事に取り掛かり集中していると……
「湯元さん、今日も一人にしてしまって申し訳ない。店長に会ってくるから留守番よろしくお願いします」
所長に言われて私は頭を下げた。
ロッカーに収納されているファイルやパソコンのデータの整理をして時間を過ごす。
静寂の中、パソコンのキーボードを叩く音だけが響いていた。
そこに急に電話が鳴る。
いつも以上にドキッとして受話器を手に持った。
『湯元さん。お疲れ様です』
電話の相手は副社長だった。
「お疲れ様です」
意識しすぎて思わず声が上ずった。
『依頼したい仕事があるのですがいいでしょうか?』
しかし、札幌での夜の出来事はなかったかのように、副社長はいつもと変わらない口調で仕事を淡々と頼んでくる。
仕事とプライベートをきっちりと分けるのは大人として当たり前のマナーだが、私は慣れていないためどうしても意識してしまうのだ。
依頼された仕事を何とか聞き取り、電話を切ろうとした。
一瞬の間があったけれど、副社長は余計なことを言ってこない。
私の答えをただじっと待ってくれているのだというのが伝わってきた。
仕事を素早く済ませてメールを送る。
『とてもわかりやすくまとめられていますね。早々にありがとうございました』
忙しいのに今日も丁寧にメールの返信をしてくれていた。
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