電話越しで恋をした副社長から、突然プロポーズされました

交際が深まって行けば、不安なことがこうして増えていくものなのかもしれない。
『明菜。福岡に無事に到着できた? 夜少し遅くなってしまいそうだから、先にホテルにチェックインして待っていて』
『了解しました』
夜になれば翔太さんに会うことができる。
福岡の町を散歩して夕方になった頃、私はホテルにチェックインをして彼の帰りを待っていた。
もう少しで到着すると連絡が入ったので私はロビーで待っていることにした。一秒でも早く彼に会いたかったのだ。
ソファに腰をかけていると自動ドアが開き、翔太さんが何人かと一緒に歩いて入ってくる。
そうだ。彼は仕事でここに来ているのだった。
東京の社員なのかお客様なのかはわからないけれど、私はまずいと思って咄嗟に姿を隠そうとしたが一歩遅かった。
翔太さんが片手を上げて近づいてきたのだ。
「湯元さん!」
副社長の横には男性が二人と女性が二人いた。
「みなさん会ったことありませんよね。北海道支社の湯元さんです」
商品企画部のみなさんが挨拶をしてくれた。
スーツを着こなしていて第一線で仕事をしている人たちという感じがした。
一緒に出張に来て同じホテルに泊まっているのかもしれない。
私も挨拶をしたけれど、何でここにいるのだろうと不思議に思われているに違いない。
「……副社長のお仕事を北海道から少し手伝わせていただいておりまして、たまたま福岡に旅行に行くと話をしましたら……副社長も福岡出張だと伺いましてご挨拶に来ました」
苦し紛れに考えた私の嘘。
副社長にチラッと視線を移すと優しい目をしてこちらを見ている。
「商品企画部のみなさんにもご挨拶できて光栄です」
私が頭を下げると、みなさん温かく接してくれた。
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