電話越しで恋をした副社長から、突然プロポーズされました
翔太さんが車で空港まで送ってくれる。
だんだんと空は夕日で赤くなっていた。ラジオからは夕方のまったりとした音楽が流れ、これから札幌に帰ってまた会えなくなってしまうのだと思うと切なさが押し寄せてきた。
会えないと言っても近いうちに翔太さんは顔を見せに来てくれると思うけど、好きな人と離れるのはやっぱり辛い。こんな気持ちになるのだから翔太さんと結婚しないという選択肢はなかった。
「母が気持ちを押し付けすぎてしまってごめん」
「いえ……」
「入籍するタイミングは俺たちで決めたいと思っているし」
「でも……結婚は自分たちだけの問題じゃないんだなって、今日勉強になりました」
「明菜……」
「社会人経験をしたいとこの前話しましたけど、私ももう少し考えてみます」
それ以上彼は何も言わずに空港まで送ってくれた。車から一緒に降りてきて搭乗手続きを済ませると、名残惜しそうに私のことを見つめてくる。
「十月から、こっちでの仕事が増えるだろう。無理に決めなくていいけど……俺の家から通う選択肢もあると思っている」
「嬉しい提案ですけど、翔太さんの立場的に、迷惑をかけてしまわないかが少し不安です……」
「周囲には、必要以上に伝えない。仕事に影響が出ないよう、俺が責任を持つ」
そばにいたいという気持ちが伝わってきてありがたい。
でももし噂にされてしまったら……
「……それに慣れない東京で一人暮らしをさせるのは心配だし」
過保護な発言に私はつい笑ってしまった。
「そこまで考えてくださるなんて優しいですね。ありがとうございます。お言葉に甘えさせてもらおうかと思います。迷惑かけないように気をつけます」
「あぁ。同棲できる日を楽しみにしてる」
「はい。ではそろそろ時間なので行きますね」
ゆっくり手を離して私は保安検査場に向かって歩いた。
振り返り何度も手を振った。
帰りの飛行機の中で、お母様の考えを思い返していた。