電話越しで恋をした副社長から、突然プロポーズされました
話を遮るようにお母様が言った。
想像はしていたけれど、目の前で言われると心の整理ができなくなる。
歓迎してくれているのはありがたいが、私にその覚悟が本当にあるのかなと。
翔太さんのことが好きでたまらないけれど、今の私でいいのか。
「難しい話は後にしてまずはランチをしましょう」
私が来るからとお母様はうなぎを注文してくれていた。肉厚でとても美味しそうだったけれど食欲がなくて何とか口に運んでいた。
「とても美味しいです」
「お口にあってよかったわ。お料理は得意なの?」
「札幌に遊びに行ったときは食事を作ってくれるんだ。俺の健康なことも考えてくれていて」
「それは素敵ね。家庭に入ったら料理もしてもらいたいなと思っていたのよ。もちろん家政婦を使ってもいいけれど息子には愛する妻の手料理を食べてもらいたいと思っていて」
お母様の理想を押し付けられたような気持ちになって、ちょっとだけこの場にいるのが辛い。大歓迎されているのは嬉しいけれど……。
ランチを済ませて私は飛行機の時間があると話をし、またお邪魔させてもらうことを約束して帰ることになった。
「結婚の日取りが決まったら教えてちょうだいね」
「だから母さん。まずは北海道支社が合併されてから、落ち着いてからになると思うよ。彼女は大事な仕事を任せられているから」
「ということは来年にはお嫁さんができるということね。早かったら再来年には孫ができるかもしれないわ」
悪い人じゃないんだけど、心が重くなってくる。
でも大好きな人もご両親に嫌われたくなくて、私は最後まで笑顔でお別れをさせてもらった。