電話越しで恋をした副社長から、突然プロポーズされました
その原因は私がまだ社会人として経験が浅いせいだと思っていた。
私は、もう少し仕事を続けてから翔太さんとの未来を決めたい。
仕事をしながらなのか、家庭に入ってしまうのか。
どの道を選びながら妻として夫を支えていくべきなのか。
私の親の世代だったら、女性は家庭に入りなさいと言われてしまう。
それはそれで悪い道ではないと思うけれど、社会人になったばかりの私にとっては、決断するのに勇気が必要だった。
本当はもっと働きたいと思っているのかもしれない……。
ただ――翔太さんのご両親は一日も早く結婚をして家庭に入ってほしいと願っていた。
どうするのが一番正しいのだろう。
ランチ中だというのに気持ちが少し重くなってしまった。
間宮さんが話しかけてくる。
「副社長って婚約したって噂なんだけど。何か知ってる? 相手とか」
「わ、私がですか?」
「北海道にいたときから副社長といっぱい仕事してるって言ってたから、何か知ってるかなって思って」
「さすがにそこまでは……」
「そうだよね。お見合いを断っているって聞いててさ。副社長に浮いた噂がなかったから、元彼女のことを引きずっているんじゃないかとか。でも副社長もついに結婚するんだね。自分のことのように私は嬉しいんだよ」
間宮さんが優しい笑顔を浮かべている。
私は本当のことを言えずに笑ってごまかすしかなかった。