電話越しで恋をした副社長から、突然プロポーズされました
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そしていよいよ、北海道支社が閉鎖する日がやってきた。
三月いっぱいで所長は定年退職する。
その他のメンバーは東京で働くことになっていた。
段ボールを積み終えて空っぽになった事務所で最後にお別れ会をした。
「湯元さん、東京に行ったり北海道で仕事したり大変な思いをさせて申し訳ありませんでした。退職しても元気で過ごしてくださいね」
所長が目を細めて私に言った。
まだ情報解禁できないので私は笑顔でうなずくことしかできなかった。
解散し、私は明日東京へ向かうことになっている。
正式に翔太さんの家で同棲させてもらうことになり、私の荷物も送った。明日家の鍵を渡して引き払うことになっていた。
仕事を終えて沙織と待ち合わせをしていた。
私が東京に行くとしばらく会えなくなってしまうから会っておこうと思ったのだ。
そうは言っても東京と札幌で飛行機で時間があれば来ることもできるし、そんなに悲観的ではない。
イタリアンレストランに二人で入店し、窓際の席に案内された。
「会えなくなっちゃうと寂しいけど、でも結婚おめでとう」
「ありがとう」
赤ワインで乾杯をする。
「寂しくなったらいつでも連絡してね」
「うん! 沙織も」
「実はね……」
彼女は左手の薬指を見せてくれた。そこには輝く指輪がはめられていたのだ。
「私もプロポーズされちゃって。まだ予定は決まってないけど来年には結婚しようかなと思っているの」
「そうだったんだ。おめでとう!」
友人が幸せになるのもすごく嬉しい。
ダブルで幸福!
ついついお酒が進んでしまう。
「話を聞いていると明菜の旦那様って、過保護で溺愛タイプな感じがするね」
「そうなのかな? 他の人とお付き合いしたことないからちょっとわからなくて……」
でも思い返してみると、ものすごく大事にしてくれている。
翔太さんの優しい瞳を思い出して、明日会えるのに会いたくなってしまった。
「明菜、幸せになるんだよ?」
「沙織もね」
「うん! カンパイっ」
大好きな友人と楽しい一夜を過ごすことができて、札幌での思い出となった。