電話越しで恋をした副社長から、突然プロポーズされました
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次の日、私は札幌の家の鍵を受け渡し、お世話になった家に頭を下げた。
空港に向かう前に実家に寄る。
両親が揃っていて、お昼ご飯を振る舞ってくれた。
私が大好きな料理ばかり作ってくれている。
母が作ったきんぴらごぼうとポテトサラダ。
じゃがいもたっぷりの味噌汁。
やっぱり北海道はじゃがいもが美味しいと感じていて、これが食べられなくなるのは少し寂しい。
「すごく美味しい。東京に行っても食べたいな」
「じゃがいも送ってあげるから、自分で作って食べなさい」
「ありがとう!」
食事を終えると私は改めてお礼を言おうと座り直した。
「どうしちゃったのよ、急に」
母は照れ笑いをしている。
「お父さん、お母さん。今まで私のことを面倒見てくれて本当にありがとう」
「そんなこと言われたら泣いちゃうじゃない」
ティッシュを取って目頭を抑えている母と、黙り込んでいる父。
この両親の子供として生まれてきてよかった。
感謝の気持ちでいっぱいになる。
「お父さんとお母さんのように仲のいい夫婦になろうと思ってるの」
「でも頑張りすぎないことよ。いつでも帰ってきていいんだからね」
母の大きな心に触れて、胸が熱くなった。
「私もお母さんみたいな母親になりたいな……」
何気なくそんな言葉を言ってなぜか心臓がドクンと跳ねた。
そういえば月のものが来ていないのだ。
忙しかったせいもあるが、もしかしたらもしかして……。
そんな気持ちになりながら私は家を出て、飛行機に乗って東京に向かった。