【完結】美容系開業医とワンナイト後結婚したら、溺愛されました!


 その帰り道、美雨はじっと一希を見つめる。

 美雨の視線を注がれていた一希は、「どうかした?」と運転中、前を向いたまま問いかけた。

「……いえ、なんだか、先輩と本当に夫婦になったんだ、と思って……」

 中学の頃に抱いた、淡い恋心。

 もしも過去の自分に一希と結婚することを伝えたら、『ええ、絶対嘘!』と信じないだろう。

「正式に『青泉美雨』から『染谷美雨』になったね」
「はい。苗字が変わるって、こんな気持ちなんですね」
「……それはいったいどういう気持ち?」

 説明を求められると、例えるのが難しい。

 二十九年『青泉美雨』として生きてきた。

 だけど、これからは『染谷美雨』として生きていくことになる。

 恋心を抱いていた人と同じ苗字になるということは、心がくすぐったくて、だけどそれが嫌じゃなくて、反対に誇らしい気持ちにさえもなる――ということを、言葉に迷いながら伝えると、一希は「しまった」と言葉をもらす。

「家に帰ってから聞くべきだった。今すごく、美雨を抱きしめたい」

 そんなことを甘い声で言われて、美雨はピャッ、と変な声を上げた。
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