【完結】美容系開業医とワンナイト後結婚したら、溺愛されました!


(いけない、いけない。朝ごはんを作ることに集中しなくちゃ!)

 気合いを入れるためにパチンと軽く頬を叩いてから、美雨は料理を始めた。

 余裕を持って起きたから、まだ時間はある。

 簡単にできる料理をサクサクと手際よく作っていく。

 ひとり暮らし歴が長いので、料理を作るのは得意だ。家庭料理のみだが、この味を一希が気に入ってくれているようで、ニマニマと頬が緩んでしまう。

 料理の合間に使った器具を洗い、すべて出来上がった頃にはシンクには洗い物はなく、美雨はすっきりとした表情をした。

 出来上がった朝食をテーブルに運ぼうとすると、一希が近づいてきた。

「そのくらい、俺にやらせて」
「……じゃあ、お願いしま……お願いね」
「うん、任せて」

 自分よりもふたつ年上の先輩だから、つい敬語を使ってしまいそうになる。

 夫婦でも敬語の人はいるけれど、一希はそういうのを好むタイプではないのだろうと考えながら、美雨は椅子に座った。

 一希がふたり分の朝食を運び終え、椅子に座って両手を合わせる。

「いただきます」

 ふたりの声が重なり、一希が箸を手にして味噌汁茶碗を持った。

 そっと一口飲む姿を見つめて、ほぅ、と小さく息を吐く一希の言葉を緊張した面持ちで待つ。

「おいしい。これは……合わせ味噌、ですか?」
「はい。白味噌と赤味噌をブレンドしてみました」

 味見をしていたとはいえ、自分の味覚と一希の味覚は異なる。

 だからこそ、彼が気に入ってくれるのか、食べたときの反応を注意深く観察していたのだ。

「……美雨はすごいな」
「すごい? 私が?」
「毎日、試してくれているだろう? 俺が気に入るかどうか」
「気づいちゃってました……?」

 こくん、と一希の首が動いた。

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