【完結】美容系開業医とワンナイト後結婚したら、溺愛されました!
 そう――今の美雨の現状。

 それは、会社が倒産し、絶賛就活中という現状だ。

 すでに何社か面接を受けているが、その後届くのは不採用のお祈りメールのみ。

 何社もこうして落ち続けると、自分が今まで築いていたものはなんだったのだろうと、自問自答してしまう。

(このまま就活うまくいかなかったらどうしよう……)

 そんなことを考えてしまい、ぴたりと食べる手を止める。

 実家にはできれば戻りたくない。

 ひとり暮らしを始めて、ようやく手に入れた自由だ。

 実家では二歳下の妹が贔屓されていたから、大学進学とともにひとり暮らしを始めた。

(焦っているから、うまくいかないのかなぁ)

 再び箸を伸ばし、きんぴらごぼうを口に運ぶ。

(まぁ、確かに妹は可愛いけどさ。私は平凡な容姿なのにね)

 二歳年下の妹、()()は、生まれたときから愛らしく、家族のアイドル――いや、近所のアイドルだった。

 何度愛奈と比べられてきただろうか。

 美雨とは違い、ウェーブがかった柔らかい茶色の髪と、薄い茶色の大きな瞳を持つ。

 愛らしさがたっぷりとある愛奈は、美雨にできた恋人を奪って、『ごめんね、お姉ちゃん? 彼、あたしのほうがいいんだって』と優越感に満ちた笑みを浮かべる悪魔だ。

 どうしてそんなことをするのか、と問いかけたこともある。

『えー、だってあたしのほうが可愛いもん。可愛い愛奈には、ぜーんぶ与えられるべきでしょ?』

 この返答を聞き、このままだと自分の心が壊れてしまうとひとり暮らしを決心した。

(……だめだ、思考がマイナスのほうに動いている。今日くらいは、ちょっとパーッと遊んじゃおうかな)

 幸い、今日と明日はなんの予定も入れていない。

 そうと決まれば、と美雨は急いで朝食を食べ終え、部屋の大掃除を始めた。
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