【完結】美容系開業医とワンナイト後結婚したら、溺愛されました!

バーで知り合った人と

 午前中、午後と満足するくらいワンルームの部屋を掃除し、清々しい気持ちで夜の街に繰り出す。

(やっぱり掃除はいいね)

 いろんな本を読んで、自分の心をどう整理すればいいのかを試してみた。

 料理や掃除は結果が目に見えやすいため、重宝している。

 結果がすぐにわかるから、達成感も味わいやすい利点があるのだ。

 料理に関しては、中学時代の淡い思い出のおかげ。

(まぁ、私が作れるのは簡単なものばかりだけど……コンビニ弁当やカップ麺よりはマシ、だよね……?)

 うん、きっとマシ、と心の中でぼやき、会社員時代月に一回のペースで通っていたバーへ足を運ぶ。

 これもまた、インターネットで会社と自宅のちょうど中間にあるところを探したのだ。

 口コミの評判もよく、緊張していた美雨を優しく迎え入れてくれたことをよく覚えている。

 月に一回、このバーに行くことをご褒美に仕事をがんばっていた。

 職を失ってからは初めて行くけれど、どうしてもこのバーで気分転換をしたかった。

 目的地にたどり着いて、そっと扉を開ける。

「いらっしゃいませ。カウンターへどうぞ」

 すぐにバーテンダーから声をかけられ、美雨は「はい」とカウンターに向かった。

 そっと椅子に座り、最後に見たときと変わっていないように見えるバーテンダーに変わっていなくてよかったと心が和む。

 椅子の近くに置いてあるカゴにバッグを置いた。

「お久しぶりですね。注文はお決まりですか?」
「えーっと、ちょっといろいろあって、気分が滅入っているので、それを払拭できるようなカクテルってありますか?」
「おや、それは大変。そうですね……ダイキリはいかがでしょうか。カクテル言葉は『希望』。今のお客さまにぴったりかと」

 バーテンダーはにこやかに提案し、美雨は「では、それで」とお願いした。
< 7 / 91 >

この作品をシェア

pagetop