【完結】美容系開業医とワンナイト後結婚したら、溺愛されました!


 ぐっと息を詰まらせる両親は、わなわなと震えていた。そこから先は、あまりにも酷い言葉が飛び交い、まぶたをぎゅっと閉じる。

 そっと、美雨の耳に一希の手が添えられた。『聞かなくていい』と言われている気がして、美雨は縋るように彼の手に自分の手を重ねた。

 言い争っていた三人の声が止み、おそるおそる目を開けると、母と愛奈は涙を流し、父の目にも涙が浮かんでいることが確認できた。

 そんな姿を見ても、美雨の心は動かなかった。ただ、冷めた目で青泉家を見ていた。そういえば、いつもこういう立ち位置だったな、とぼんやり考え、苦々しそうに唇を結ぶ。

 自分を可愛がってくれていたのは、祖父母だった。祖母は美雨が大学生の頃に亡くなってしまったが、与えられた愛情は今でも美雨の心の中に残っている。

「嘘よ、私たちの子育てが失敗したなんて……」
「そうだ、俺たちはずっと普通に育てていたはずだ……」

 ぶつぶつと小声でなにかを言っていた両親は、顔を上げて美雨を見て歪んだ笑顔を浮かべた。

「美雨、あなたお姉ちゃんなんだから、どうしてもっと愛奈を見てくれていなかったの?」
「お前がもっとしっかりしていれば、愛奈だってこんなふうにならなかったはずだ!」

 親の責任をなすりつけようとするふたりにズキリと美雨の胸が痛んだ。だけど――これでようやく、決心ができた。

「愛奈の育て方を間違ったのは、お母さんとお父さんよ」
「美雨!」

 怒号が飛んできたが、美雨は無視して淡々と言葉を織りなす。

「私……もうみんなと離れたい」

 その声は、震えていた。美雨を支えるように一希が両肩に手を添えた。

「ひとり暮らしをして気づいたの。みんなと離れることで、私はようやく『私』らしく過ごせるって。……どういうわけか、付き合っていた人はほぼ愛奈に奪われていたけれど」

 母に恋人の有無を聞かれたことがあり、素直に答えていたことを思い出す。

 おそらく、母から愛奈へと話が伝わり、愛奈の略奪心を刺激したのだろう。
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