【完結】美容系開業医とワンナイト後結婚したら、溺愛されました!


 あの日再会しなければ、こうして穏やかな時間を過ごせなかったのかもしれない。

 そう考えると、やはり運命というのはあるのかもしれない――そんなことを思って、美雨は顔を綻ばせた。

「ごちそうさまでした。皿は俺が洗うよ」
「えっ、大丈夫よ、私がやるわ」
「いやいや、ちゃんと下心があってのことだから」

 下心? と美雨が首をかしげると、一希はお茶を飲み干してカップを持ち、シンクに運ぶために立ち上がり彼女の耳元でとあることをささやいた。

 耳に届いた一希の『下心』を理解すると、ボンッと顔を真っ赤に染める。

「そういうわけで、食器を洗う夫のお願い、聞いてくれる?」
「……ん、いいよ」

 美雨は一希が食器を洗っている最中に自室へ移動し、着替えとバスタオルを手にする。彼の部屋にも入り、同じように着替えとバスタオルを持って脱衣所に向かった。

 耳まで真っ赤に染まっていることに気づいた一希は、小さく笑う。

 明日の外食予定の場所を頭の中でリストアップする。その間にも食器を洗う手は止めない。

 脱衣所に着替えとバスタオルを置いて、キッチンに戻ってきた美雨は一希が洗った食器をクロスで拭き始めた。

「それも俺がやるのに」
「いいの。だって、ふたりでやったほうが早いでしょ?」
「それはそうだけど……美雨の行動、俺を喜ばせるだけってわかってる?」
「……うん。だって、その、夫婦……なんだし」

 言っているうちに恥ずかしくなったのか、声が小さくなっていく美雨を眺め、一希は早く食器を洗い終えようと目の前のことに集中し始めた。
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