受付嬢なのに、清掃員から一途に溺愛されています ~タワマン最上階で猫と過ごす、秘密の恋~
 自宅に戻ると、
 私は玄関で深く息を吐いた。

 少しよれたスーツとブラウスを脱ぎ、
 丁寧にハンガーに掛ける。

 布地に残る、
 微かな皺を指先でなぞりながら、
 ついさっきまでの出来事が、
 現実だったことを実感する。

 シャワーを浴びると、
 お湯が肩を伝って落ちていく。

 それなのに――

 不思議と、体の奥には、
 まだ温もりが残っている気がした。

 額に乗せられた冷たいタオル。
 何度も替えてくれた、あの手。
 眠るたびに、近くで聞こえた声。

 熱は下がっているはずなのに、
 胸の奥が、じんわりと温かい。
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