受付嬢なのに、清掃員から一途に溺愛されています ~タワマン最上階で猫と過ごす、秘密の恋~
 その日は、あっという間にやってきた。

 都内のホテル。
 中庭が見える、ガラス張りの広いカフェ。

 西条と秘書課長が先に入り、
 私はカフェの外、廊下で待機する。

 しばらくして、二人の来客が現れた。
 年配の紳士と、
 その隣に並ぶ、三十代ほどの若い女性。

 ……綺麗。

 思わず、息を呑んだ。
 細身で、背筋がすっと伸びていて、
 所作の一つひとつが、上品だった。

 女性の私から見ても、
 思わず見とれてしまうほど。

 私は一歩前に出て、静かに声をかける。

 「笹山さまでいらっしゃいますか」

 女性が、穏やかに微笑んだ。

 「はい」

 柔らかく、落ち着いた声。

 私は課長に目配りをして、
 二人を中へ案内した。

 それだけで、役目は終わりだった。

 再び、廊下へ戻る。
 ……なんて綺麗な人。
 間違いなく、お見合いだ。

 それなのに――

 どうして、私はここにいるのだろう。
 諦めさせるため?
 現実を見せるため?

 答えは、どこにもなかった。
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