受付嬢なのに、清掃員から一途に溺愛されています ~タワマン最上階で猫と過ごす、秘密の恋~

冷たい朝と、缶コーヒーの温もり

 今日も、早朝から出社した。

 業務を早く覚えないと
 ――それだけが、
 今の私の支えみたいになっている。

 ロビーを抜けようとしたとき、
 外のガラス越しに、
 あの清掃員の姿が見えた。

 建物の外周を、
 一人で黙々と掃除している。

 ……寒いのに。

 思わず足を止め、
 近くの自動販売機へ向かった。

 指先が少し冷えていて、
 温かい缶コーヒーを選ぶ。
 外に出て、そっと差し出す。

 「よかったら……」

 一瞬きょとんとした顔をしてから、
 すぐに柔らかく笑った。

 「ありがとうございます」

 帽子の影で表情ははっきり見えないけれど、
 声は穏やかだった。

  「いつも、お疲れさまです。
   早朝から、大変ですね」

 そう声をかけると、彼は首を振る。

  「いえ。
   皆さんが、
   いつでも気持ちよく働けるように。
   少しでも、お役に立てれば」

 ……丁寧な言葉遣い。
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