幼馴染の土葵くんは。
「……ごめん、出ていい?」
着信の相手を確認したとたんに血相を変えてそう聞いてきた。
「あ……うん。」
「もしもし、凛さん?なんかあった?………うん、わかった。すぐ行くよ。……ごめん、和歌。行くね。」
「そっか……また…ね。」
土葵くんは、通りかかったタクシーを拾って行ってしまった。
凛さんって女の人の名前……だよね。
それに、あんなに必死に。
「失恋……かな。」
食べていた途中のアイスは土葵くんと話すのに夢中でほとんどが溶けてしまっていて。
これが土葵くんと最後に会った時の話。
この失恋は、胡桃ちゃんにも話していて。
だから察してすぐ助けてくれたんだと思う。
「大丈夫だった?和歌。」
「胡桃ちゃん……。息止まっちゃうかと思った。」
「あれが和歌の言う土葵くん……ね。」
「やっぱりかっこいいなぁ…土葵くん。」
フラれたわけじゃないから、なかなかあきらめきれずに今もずるずる引きずっている。
あの“凛さん”ってやっぱり彼女…だよね。
胡桃ちゃんに慰められながら私は、校舎へと向かった。